家族おもいを馳せる




解散したあと、ベルセンパイは当たり前のようにミーの手をとって自分の部屋に連れてきてくれて、ミーも当たり前のようについていく


後ろからシグマと言うらしい自分の息子の視線を感じたが、それ以上にベルといたかった




お互い言葉を紡錘がない



けれど、黙ってミーを包み込んでくれるこの腕の中にずっといたい

この人と人生を歩みたい

それがあの子達の運命を歪めるとしてもだ


……本当に、彼との子供だったらよかったのに


そんなふうに考えてしまう自分は母親失格にもほどがある


何より本来拐われるのは自分のはずだったのに

この時代に関係ないのに巻き込んでしまった


胸板に頬をすりよせて甘えると、優しい手が頭を撫でる

それが自分の弱さを包んでくれるようで、大丈夫だと言われているようで堪らなく泣きたくなる



でも、泣かない

明日、奪還任務に向かう彼に迷惑はかけない


ただの任務じゃないんだ
きっと彼の生死を賭ける


でも、今だけ……、今だけは二人で……


そっと彼を抱きしめる腕に力を入れた








―――――――――


仲睦まじく両親が揃って部屋を後にするのを見送った


この頃からこうなら今がああなのも頷ける

ほら、予想はつくだろ??

「じゃ、俺も行きます」

「調子悪くなったらすぐあたしの部屋にくるのよ」

腰をくねくねさせかながらハートを飛ばす彼(彼女)も相変わらずだ


「そ、そうします……」
絶対行かない


「とりあえず、俺はあの角部屋にいますので」


残りの幹部に一礼して、宣言した部屋に向かう


この部屋はずっと空き部屋な割りに何かと便利で幼い頃からよく重宝したものだ


「やっぱり、今より新しく見えるな」


そのままベットにぼふんと倒れこむ。運命は本当にあるのかもしれない


まさか、こんなことになるなんて……


アルファは大丈夫だろうか




心配が浮かんでは消える



とにかくだ、今までで一番最悪な事態




今から数年前

あの日のこと

甦るのは、情けない自分





はぁ……、とため息がこぼれた先には何もないというのに







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