兄いかる




瞬間、しまったと言わんばかりに凍りつくシグマとアルファ


「おい、何が望みだ」


空気を裂いたのはボスの一言だった
その深紅は真っ直ぐとラジエルを射抜く


「う゛ぉい、ボスっっ!!空気をよ「黙れ、カスが。こいつらのことは後で尋問する。今はこっちが先だ」



その一言にみな黙ってボスに全てを委ねる


「ベルよぉ、今から転送する場所に一人で来い。
しし、決着をつけようぜ♪」


「俺が行ったら、人質は解放しろ」


「勿論、それは約束する♪」


なら交渉成立だと独特の笑みを浮かべる


「必ず来い。じゃなきゃ…… 」


そこでアルファをグイと引き寄せナイフを首筋に当てる


「マジで殺すから♪」


そこでプツリと切れた画面


「……ぉいっ!!」


糸の切れた人形のように膝から崩れるシグマを支える


「大丈夫かよお前」

「顔色も悪いですー」


「は、はは、」


その顔には何も色がない

「これが…運命ってやつか……」


「あ??」


「いや、こっちの話……気にすんな」


と、無理矢理作ったような笑顔を張り付ける



「それよりだぁ゛っ!!、てめぇら兄妹かぁ゛」


スクアーロの問いに困ったような笑みを浮かべる


「……はい、俺が兄になります」



「「っ!!!!!!」」


「はは、似てないですよね。あいつは完璧にお袋似ですから、」


フランはそっとベルに寄り添い見えないように隊服の裾を握った


「えっ、じゃあそのー……」


フランの言わんとしていることがわかったのか、すっと立ち上がって、フランを見つめる



「俺はあなたの息子です」


本当は言うつもりなかったんですけどね、


とまたも困ったような笑みを浮かべる


「成る程なぁ゛、霧の属性はお前が受け継いだのかぁ゛」


「えぇ、お陰様で大分しごかれました」


「なら、あなた達サラブレッドねぇ!」



騒ぐ外野をさらりと受け流し真っ直ぐとベルを見つめる



「まぁ、本当は俺が行かなきゃいけないんですけど……


ともかくですよ、今は貴方しか頼れる人がいないんです。


ヴァリアー作戦隊長として、一人の兄としてお願いします。


アルファを助けてやって下さい。」



そのまま、腰を90度におり深々と頭を下げる



「ベル、……ガキの救出をお前に命じる。さっさとかたずけてこい」




「しし、任せとけって♪」



「それじゃあ、解散だぁ゛、お前は適当に空き部屋でも使え゛」


「うぃ」



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