蛙と兄であう



半ばコントのような争いを止めたのはザンザスの一言だった


「いや、あの未来から来ました」


「「「「「はい??」」」」」


「だから、未来」


「「「「「あぁ、そう」」」」」


「えっ、なにこのリアクションっ!?

うわっ、うっす!!!!

ほら、もうちょっと『わー!!』とか『なんでー!!』とかもっと言うことをあるでしょう!?」




皆一瞬で理解した
あぁ、こいつ残念なイケメンだ


「違う、ユーモアがあると言ってくれ」

「心を読むなし!!」

「痛いっ!!」

ドスっ、ドスっ!!と背中にナイフが突き刺さる

「ったく、本当に容赦なしなんだから」

「ぶぉぉぉい!!うるせーぞお前らぁ゛」

「「お前が一番うるさい」」




「センパーイ、息ピッタリじゃないですかー」


一見、ただ喧嘩しているようにも見えるが調子よい掛け合いに聞こえてくるのが不思議な所だ


「あっ、自己紹介してもいいですか」

「……お前本当に話ぶったぎるな」

「誉め言葉」
にやりと笑ってサムアップ

「いや、誉めてねーし」



「あの子やるわね。ベルちゃんとあそこまで上手く話せるなんて」

なかなかいないわよ

と呟くルッスーリアに一同頷く


幼い頃の環境のせいか、彼本来の気質なのか、なんでも自分を中心に考えるベルフェゴールである

人をイラつかせたり、恐怖のどん底へ叩き落としこそすれ、恋人であるフランや自分達以外とこんなにテンポよく話す彼を見たのは、長い年月を共に過ごした幹部達でも初めて見た光景だ



「えぇと、改めてはじめまして

未来の作戦隊長"シグマ"と申します

以後お見知りおきを」


「ぶぉぉぉい!!ちょっとまてぇ゛!!

未来の作戦隊長だとぉ゛!!」


「あー、はい。きっちりかっちりしっかり譲って頂きました」


「何ぃ゛!!」
「あらまぁ」
「皆さんが結構歳いった世界から来てたんですねー」
「それと、こっちにカエルが一匹来ませんでした??」





・・・・・・
「あーーーーーー!!!!!!!!」

そうだ、シグマの登場ですっかり忘れていたが、自分はアルファを探してここまできたのだ


「アルファーーーーー!!!!」

「あぁ??あの子ガエルか」

そういやいねぇな

と皆で辺りを見回すが翡翠は見つからない

チラリとボスの方を見ても、俺は知らんとばかりに瞳を伏せている


「今度は何をしたんだ……」


と頭を抱えるシグマ。
その顔には何だか妙に哀愁が漂っている
そして、一同アルファの性格を思い出した


「ぶぉぉぉい!!お前、まさかっ!!」

「わかりますか!!スクアーロ前作戦隊長!!」

「わかる!!わかるぜぇ!!その気持ち!!」



変な所で気があったらしい



それでも、そんなことない、彼女は何もしてないと反論しようと口を開きかけたその時

「あいつは何もしてねーよ」


「センパイ……」


「何もしてない」


思いがけないところからの反論に胸がキュッとなる

センパイがアルファを庇ってくれた
自分の子ではないのに


あの時、愛する努力をすると言ってくれたのはどうやら本当らしい


それを嬉しいと思う反面、複雑な心境が胸を覆う


「なら、よかった。にしてもいったいどこいったんだよ。カエル2号……」


「ちょっ、カエル2号ってー」

「だって、まんまでしょ??」


うぅ、反論できないですー



ガガガガ、ピー


「あら、通信??」

いったいどこから




ネクスト→


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -