少女まよう



気を抜いていたわけではなかった


「ベルセンパイ!!!!」


自分に銃口が向けられたと思ったら

彼が自分を覆うように倒れてきた

反射的に抱き抱えた手にはべったりと彼の血がついていて


「っ、なんで!!センパイ!!センパイ!!しっかりして!!」


ゆっくりと彼の顔が振り向く


「……怪我、ねーな??」

「っ、おかげさまでー」


すると、安心したかのようにセンパイの体から一気に力が抜けた

「センパイ!!」

涙が溢れて止まらない


「フランちゃんっ、ベルちゃん借りてくわよ!!」


ルッスさんがミーの上のベルセンパイを軽々と抱えあげた


医務室の白い扉の向こうに消えていくセンパイ


赤い処置中のランプが点灯する


ルッスーリアがついているのだから大丈夫だとは思う


しかし、あのベルフェゴールがたった一発で意識を失ったのだ


普通の銃弾でなかったことは明らかだ

きっと何かしら細工をしていたのだろう


そしてふと思い出した

(……そうだ、アルファ!!)

彼のことで手一杯ですっかり忘れていた


わざとではないとはいえ罪悪感がつのる


勿論だが、彼女に非があるわけではないし
今回のことは一概に誰が悪いとかいうことではない


「おい、カス」


振り向くと紅眼が自分を睨んでいた
思いがけない人物の登場にややおののく


「談話室に置いてきた」

何を??とは言わずもがな

「っ、ありがとうございますー」


「てめぇのガキの面倒くらいてめぇでみろ」


その言葉に頷きながら談話室へと急いだ









『……ここ、は』


目が覚めるとどうやら自分は談話室のソファに寝かされているらしいことがわかった


そのまま起き上がると窓を開けて屋根の上に向かった


今日の空はどんより曇っていて星も月も見えない


『……ママン、怒ってますよねー』


自分の情けなさに涙がでるいつもそうだ、戦闘に夢中になって、回りを見失って、気づいたら暴走している


(――ミー全然成長してませんー)


自我を保てていないわけではないし記憶が飛ぶこともない


ただ、迷惑をかけてしまう


自分の下についた任務後に、溜め息をつく隊員がいることを知っている


兄が影ながらフォローしてくれているのを知っている


全くあの一家は…、と自分のせいで家族まで何か言われるのを知っている

自分に絶対単独任務が来ないことを知っている


だから、どうしてもこの任務につきたかった


独りで大丈夫だと、ヴァリアー幹部なのだと


少しでも示したかった




なのにどうだ

兄から任務を奪ってまでここにきたのに


いつもの繰り返しではないか


『ミーはどーしたらいいんでしょうかー』


空を見上げたその時




「俺に拐われればいいと思うよ♪」


視界に金髪がちらついたと思ったら

鼻に何か押し付けられた

意識が混濁していく


「カエルちゃん確保♪」

「流石でごさいます、ジル様」




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