蛙ねがう



二人で愛を確かめあった後

夜中にふと目が覚めた


自分の腕の中にすっぽりと収まる愛しい体温がまだあることに安堵の溜め息をつく


そのまま髪を撫でてやると猫のようにすりよってきた


その体を抱きしめ直しもう一度、眠りについた






早朝にふと目が覚めた


昨日の余韻だろうか

喉と腰がじんわりと痛む

普段なら文句のひとつでも言ってやるとこだか

何だかその痛みさえも愛しい


彼の腕の中から見える寝顔を堪能し、彼の頬をぷにっとつまんでイタズラしてみた


(センパイ、かわいーですー)


調子にのってえいっと上下左右に引っ張る


「てめー、何やってんだカエル」


(さすがに起きますかー)

「センパイ、おはよーございますー」


彼の機嫌が治るようにそのままチュッと頬に口づける


「うしし、甘えたじゃん♪」
「いーんですー、ぷ、プロポーズの翌日くらい甘えさせやがれー」


真っ赤になった顔を隠すように彼の胸にすりよる

「かーわい♪顔あげろよ、フラン」


「やですー」


自分に抱きついてテコでも離れようとしない


「ならこーするし」


彼女を抱きしめたまま45度回転し、フランを自身の体の上にのせる


「センパイのばかー」


上目遣いで睨まれてもなにも怖くない、むしろ視覚的にかなりくる


しかし今事に及んだら怒られるのは目に見えている


今にもちぎれそうな理性をフル活動させて話題をそらした


「なぁ……あいつの父親って誰だったんだ……??」

「……それ聞きますー??」


「だって今そいつ殺せば問題なくね??」


「そしたらアルファがいなくなっちゃうじゃないですかー!!」


「…………」


「あの子は仮にもミーの子供ですー」


例えそれが愛しい人との子でなくても


「大事にしてあげたいんですよー」


「ほらっ、それにもしかしたらパラレルワールドからきたかもしれないじゃないですかー」


「だから、……ねー??」




「わりぃ、変なこと聞いたな」


だから、お前が泣きそうな顔すんな


落ちつけと背中をポンポン叩いてやる


「そ、そんなわけないじゃないですかー」


必死に目をこするフランの手を掴む


「フラン、お前があいつを大切にしてるのはわかった。


だから……、俺もあいつをできる限り大切にする……努力はするし」


なんたってカエル遺伝子入ってるかんな♪


「センパイ……、ありがとー」


「うしし、だって俺王子だし♪」


「いい雰囲気が台無しですー

でも……、ミーはセンパイを好きになれてよかったですー」


「……っ!!!!お前いきなりかわいいこと言うの反則」


そのままぎゅっと抱きしめる


「センパイ苦しいですー」

「やだ、離してやんねぇ」


もぉ、といいながらも心はこれ以上ないくらい嬉しいのだ


こんな平穏が続いてくれたらどんなに……


『ママ〜ン、ママ〜ンっ!!お助けー!!!!へるぷみー!!!!』


平穏…??



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