アンディ夢


 背中に急な体重がのし掛かり、思わずそのまま転けかけたがなんとか踏ん張って姿勢を保った。背中に誰が乗ったかなんて確認せずとも分かる。そのままゆっくりと膝を突き、背中の人物に降りるように促す。案の定素直に降りて今度は前に回り込んで抱きついてきた。
「ねー!もっとびっくりしてよー!」
「こんなことすんのお前しかいねぇだろ」
 そんなの面白くない。と彼女は唇を尖らせて言った。彼女の身体を離して服装を見れば少し胸元の緩い、彼女の歳には不相応な服装をしている。そしてふんわりと香るのは香水、か。
「お前またそんな格好して…もっと年相応の格好しろよ」
「また子供扱いする!私もう12歳なのに!」
「でもお前は俺にとってはまだまだ子供だ。そういうの着んのやめろって。似合ってねーし」
 そこまで言って、少し言い過ぎたか、と思って彼女の方を見れば彼女は頬を上気させ、目を見開いて俺の胸板を思い切りバシバシ叩いてきた。
「アンディのばか!私はせっかく可愛いと思って買ったのに!!アンディに可愛いって言ってほしくて買ってきたのに!アンディのバカ!バカ!!」
 すると彼女のESPが暴走を始め、周りの物が彼方此方に投げ飛ばされていく。慌ててリミッターを外し、彼女を止めようと手を差し伸べるとその手を誰かが振り払った。少し顔を見上げれば、ムカつく笑顔を浮かべた兵部だった。
「大丈夫かい。落ち着くんだ。君は何も悪くない。でも力を暴走させてはいけないよ。みんなが傷ついてしまう」
「しょう、さ……」
 兵部が彼女の肩に手を添え、優しく諭すと飛び交っていた物が徐々に地面に落ちていく。力で逆立っていた彼女の髪も元に戻り、彼女はその場にしゃがみ込んだ。
「まったく。君という男は…」
 そう言いながら兵部は彼女の名を呼び、目線を合わせるようにその顔をのぞき込んだ。
「ごめんね。ヒノミヤのことは許してやってくれ。彼はありのままの君でいて欲しいのさ。別に背伸びなんかする必要ないってね。彼は君が大人になるのを待っているのさ」
「アンディ…」
 兵部がフォローしてくれるなんて珍しいな、と思っていると兵部はこちらを見てニヤリと笑った。
「ま、彼はロリコンだから今の君でも十分魅力的さ」
「誰がロリコンだ!お前に言われたくないね!」
 と叫ぶと兵部は笑って足をひっかけてきた。寸でのところでバランスをとったので転びはしなかったが。せいぜい頑張りたまえ、と言うと兵部は手を振って去っていった。どうやら仕事はなくなったらしい。
「ごめんな、仕事なくなったし、遊ぶか」
 そう言うと彼女は嬉しそうに満面の笑みを浮かべて抱きついてきた。

 しばらく俺の仕事は彼女の相手役になりそうだ。


---------
なんか始めの構想と違ったものになっちゃいました。
でも思い出せなくてこんな感じで。
いつもそんな感じ(笑)




back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -