「紫穂!誰のせいだ!」
「賢木先生よ」
「なーにー!」
「それよりも…深雪さん?」
 紫穂ちゃんは顔に似合わずドス腹黒いを湛えながら私に微笑んだ。こうなることが予想できていたから読んで欲しくなかったのに…
「皆本さんと食事ってどういうこと?」
「え、皆本と食事!?」
「なんやて!?」
 紫穂ちゃんの言葉に薫ちゃんと葵ちゃんまで怒りを顕にして、予想通り薫ちゃんは私の胸元を握って怒りを顕にした。サイコキネシスで攻撃されないだけマシかもしれない。
「ちょっと待って!落ち着いて!」
「落ち着いてなんかいられるかよ!どういうことだよ!」
「紫穂ちゃん、読んでいいから!」
 このままじゃ埓があかないのは目に見えているので紫穂ちゃんに手を差し出すと、紫穂ちゃんはニヒヒと下卑た笑いをしながら私の手を握った。薫ちゃんと葵ちゃんは睨みながらも黙って紫穂ちゃんが口を開くのを待っている。
「どう?紫穂ちゃん」
「……別に何にもやましくないわ」
 紫穂ちゃんのその一言をどれだけ待っていたか。それを聞いて薫ちゃんは良かったー!と大きく伸びをして、葵ちゃんは「ウチは皆本はんのこと信じてたけどな!」とか言って私に抱きついてきた。それを見てからホッと一息つくと、紫穂ちゃんはニヤリとまた下品な笑みを浮かべて私を見た。…恐ろしい何かを感じて紫穂ちゃんから一歩後ずさる。
「ふーーーん。賢木先生って意外に…ふふ」
「紫穂ちゃん…?」
「賢木先生の弱味ゲット。ふふふふ」
 下品だけれどもでも嬉しそうに紫穂ちゃんは笑って、ありがとうと言うと三人は走ってどこかへ行った。残された私は今の騒動ですっかり乾いてしまった涙を拭くために再びトイレを探した。





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