永遠 | ナノ
また俺のご飯・・・



「あー、お腹減った!もうペッコペコだよ!!!」

やっと京の巡察が終わり、帰った頃にはちょうど晩御飯の時間になっていた。
急ぎ足で、広間へ向かう。
もう、新選組の幹部の皆は集まっているはずだ。

スササササッッッ―

「ご飯だっ!!!!!」

叫声と同時に襖を開けた。

「ようっ、平助。早かったじゃねぇか」

「へへっ、今日は別に何にもなかったからな」

声をかけてくれたのは、新選組十番組組長の原田左之助。
刀より槍を得意としている。

俺は、同じく新選組の八番組組長の藤堂平助。
最年少で新選組の幹部になった。

「早く席に座れ。食事の時ぐらいは静かにしろってんだ」

ドタバタしていると、鋭く注意をされた。
彼は新選組“鬼の副長”の土方歳三。

軽く土方さんに相づちをして、席に座った。
幸いな事に、皆は食べ始めて間もなくだった為、自分も遅れまいとご飯に手をつけた。

「いっただきま〜すっ!」

と元気に箸を手に取り、メインの小魚を手に取った

瞬間―――


持っていた小魚が消えた。


えっ、と思わず声がこぼれた。
訳もわからず、辺りを見渡した。

落とした訳ではない。食べた訳でもない。

隣を見ると、三番組組長の“居合の達人”、斎藤一がモクモクと小魚を食べていた。

「おっ、俺の魚ああああ!!!!!」

「武士たるもの、何時でも気を抜いてはならない」


そんなぁ・・・、と肩を落とす。
しかし、これが初めては訳ではない。
今までにも何回か、一くんには食べ物と取られている。
どうしても、一くんの箸さばきを見抜く事が出来ない。

これが実力の違いというものか。

まだ、小魚は2ひき残っている。
他にも沢庵、梅干し、豆腐。
野菜などと、あった為、気を取り直して食事を再開しようとした。

―――が、

いつの間にか、全て無くなっている。
もう、おかずはなく、お味噌汁とご飯しかない。

「えええええええええええっ!?!?!?!?」

驚愕。

この短時間に何があったというのか。

「・・・ゴメンね、平助くん」

と、謝る少女の箸の先には、梅干しが。
少女、雪村千鶴は剣術はあまり得意としては居ないはず。
むしろ自分の方が、数段上だと思っていた。

「おっと、平助があんまり食わないから俺が食べてやるよ」

また後ろで声が。
振りかえったときには、もう手遅れだった。
新選組二番組組長の永倉新八が、小魚を口に放りこんでいた。

唖然とする平助の前に一判組組長“剣の天才”、沖田総司が。

「僕、身体丈夫にしなきゃダメみたいだから、この魚は頂くよ」

にんまり、と黒い笑いを浮かべながら、小魚を食べる。

「何で俺のばっかりぃぃぃぃぃぃ!?!?!?!?!?!?!?」


「すまねぇな、平助」

と、再び声。

「左之さんまでっ!?
 近藤さんに、山南さん、土方さんもっっ!?!?」

いつもは、取られても、一くんぐらいだった。
何故、巡察後のお腹がすいた今日なのか。

理解できなかった。

優しくて大らかな、近藤さん。
いつも気を使ってくれる千鶴までとは・・・・・


「もう、意味わかんねぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」















ガバッッ!!!!

「きゃ・・・!」

何と、今のは夢だったのだ。

「もう、平助くん!驚かさないでよ。
 朝ご飯の用意できたよ。早く広間に来てね」

と千鶴は部屋を出ていった。
どうやら、自分を起こしに来てくれたようだった。

「とりあえず、夢で良かったぁぁぁ」

ホッ、と安心し支度をし、広間へ向かった。


















正夢にならなければ、良いのだが。







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大体予想は出来たと思いますが、夢オチです。
平助くんが、ドンマイすぐる。

こんな新選組がいつまでも続いたらいいのに(/_;)

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