喜楽 | ナノ
飼い犬の嫉妬
因:「荻の馬鹿野郎っお前なんか知らん!リンス飲んで死ね」
ピシャン。
圭:「あッ因幡さん!」
優:「あーあ、荻さんの所為で先生押入れに入っちゃったじゃないですかー」
荻:「俺が悪いのか・・・?」
圭:「・・・・・多分飼い犬の嫉妬ってやつですよ・・・」
チラリと荻の持っている“モノ”を横目で見ながら溜息をひとつはいた。
神:「どしたアルか〜?」
優:「あ、神楽ちゃん今ね荻さんの所為で先生拗ねちゃってるんです」
神:「荻の所為で拗ねてるアルか!」
圭:「そこ協調しちゃうんだね」
神:「でも何でアルか?」
圭:「それが・・・」
遡る事三日前・・・。
荻:「すまんが、依頼でこの犬を預らなければならなくなった」
因:「いつまでだ?」
荻:「五日間だ」
因:「良いぜ、世話するなら新八のトコの方が良いだろ。広いし」
荻:「そうだな」
〜志村宅〜
荻:「――・・・と言う事で五日間此処で預けることになった」
新:「良いですよ。それにしても可愛いですね〜」
荻:「まだ一歳にもなっていないらしい」
新:「へぇ〜」
新八は荻から手渡された子犬を抱っこすると感激の声を出した。
因:「で、荻。お前これから仕事じゃ無かったのか?」
荻:「お、そうだったな。すまんがその犬頼む」
新:「分りました」
荻:「じゃ、」
「クゥ〜ン・・・」
新八の腕の中で小犬がジタバタと暴れだした。
「クゥッ・・・クゥ〜」
新:「荻さんが行くから寂しいんですかね」
困ったように笑う新八は子犬を抱きなおした。
荻:「・・・・連れていく」
新:「え?良いんですか仕事に持って行っても」
荻:「大丈夫だ。それに可哀想だし、な」
そう言って荻は新八から子犬を貰うと「行ってくる」と言って去った。
因:「・・・・・・」
新:「大丈夫かな〜?・・・・因幡さん?」
因:「えッ?あ、何だ?」
新:「いえ、何でも・・・何かジッとしてたから」
因:「いんや、何でもない」
因幡は手をヒラヒラと振って奥に行った。
それからこの二日間、小犬は荻にベッタリとくっ付いて生活をした。
そして三日後の夜・・・。
〜万事屋〜
因:「・・・・・・・・・・・・おい荻」
荻:「何だ?」
因:「仕事の最中犬抱くの止めろ」
荻:「抱いて無いと鳴くから仕方ない」
そういって荻は書類を読み始めた。
因幡の手に力が籠る。
ダンッ
いきなりの事で吃驚した荻が目を丸くしている。
視線を挙げるとそこには狼姿の因幡が・・・
アレ、何で変身してんだ?
視線を巡らせるとソファーの横でピースサインをしながら笑っている悪徳助手の姿が見えた。
圭:「アレ、どうしたんですか荻さん」
荻:「使える方の助手か」
圭:「圭です荻さん。で、どうしたんですか?」
荻:「分からん」
そして冒頭に至る。
神:「成程ネ〜」
優:「ヒッドイですよね〜」
神:「銀ちゃんが定春にそんな事したら私キレて銀ちゃんの首へし折るアルよ」
銀:「俺がなんだって〜?」
欠伸をしながら銀時登場。
神:「あ、銀ちゃん」
銀:「騒々しいったらありゃしねぇよこっちは二日酔いで頭がいてぇんだよ」
新:「何呑んでんだよ」
優:「アレ、新八くんいつの間にいたの?」
新:「さっきからずっとですけど!!?」
神:「まじアルか」
新:「僕神楽ちゃんと一緒に来たんだけど!!!?」
銀:「ギャーギャー騒ぐんじゃねェ!で、何があったんだよ」
優:「実はですね――・・・」
優太は細かくきっちりとすべてを話した。
優:「――・・・と言う事です」
銀:「飼い犬の嫉妬じゃねえかよ」
欠伸をしてボリボリと髪をかいた。
圭:「ですよねー・・・」
優:「先生素直じゃ無いですから」
神:「ツンデレアルか?」
圭:「かな・・・」
取り合えず・・・。
銀:「荻、謝ってこい」
荻:「・・・何故?」
銀:「てめぇがやった事はてめぇで片付けろ」
そして。
荻:「すまなかった」
因:「・・・・・一発だけ殴る」
荻:「それで気が済むならな」
因:「キューティクルボルトォォォォオ!!!!!!!」
圭:「殴るじゃないじゃん!!!!」
因:「すっきりー・・・」
新:「荻さんがピンピンしてる」
荻:「慣れっこだ」
新:「慣れてたんですか!?」
荻:「で、洋。何で怒ってたんだ」
因:「知らねェで謝ってんじゃねェ!!!!」
飼い犬だって素直になれない時もある。
完。
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