喜楽 | ナノ
鴉と鳩とそれから・・・
因:「三千世界の・・・は、鳩を殺して・・・?」
圭:「違うよ因幡さん。鴉です。カ・ラ・ス。鳩だったら幸せの象徴殺っちゃってますよ」
因:「あ、そっか」
圭:「もうちょっと勉強しようか」
因幡たちは荻から渡されたDVDを見ていたところだ。
タイトルは『三千世界の鴉を殺して』だ。
主人公が次々と悪を退治するという話だった。
面白い面白くないはこの時は置いておこう。
因:「荻でもこんなん借りてくんだな」
圭:「そうですね、意外でしたもん」
因:「荻は悪が嫌いだからな」
圭:「正義感溢れてますもんね」
優:「そうですか?」
優太はお手製の荻人形を左手で持ち右手には五寸釘を持っていた。
何をしようとしているのか言うまでもない。
因:「でも悪と言ったらヴァレンティーノだ!!」
ヴァレンティーノは悪の中の悪だ。
優:「じゃあ悪の逆は何ですか?先生にとって」
因:「キューティクル」
圭:「即答ですね」
優:「先生は髪が好きですからね」
圭:「好きの域を超えてるよ」
尋常じゃ無いほど好きですから。
因:「あ、俺ちょっと新しく出来た店に行ってくるから留守番よろしくな」
圭:「わかりました」
優:「いってらっしゃい先生」
バタンと扉の音が聞こえると圭はヒラヒラと振っていた手をおろして雑誌などを片付け始めた。
圭:「あ、そうだ。優太くんにとっての鳩って何?」
圭は興味本位で聞いてみた。
優:「僕にとっての鳩ですか・・・?ん――・・・先生ですかね♪」
優太の周りに花が咲いた。
圭:「(あ―・・・なるほど)じゃあ鴉は?」
優:「荻さん」
圭:「黒い!早い!」
優太は荻人形を握り潰しながら言った。
ああああ、荻さんがぁぁぁぁ。
人には聞いてよかった事と聞かなきゃよかった事がある。
完。
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