消滅 | ナノ
早く俺を解放してくれ
何もない時を過ごす
魔界も平和で何も心配のないときに見た夢は
一人の少年の何か思い出しそうな姿
その髪は茶色で
その目は黒で
彼が一目で誰かがわかる
数ヶ月前、彼女とともに捨てたあの子
彼は自分達を恨んでいることだろう
彼は思い出したら自分達を殺しに来るだろう
仕方がなかったとわかっていても
彼が覚えていないとわかっていても
今すぐ側に行き、謝りたい
その願いは叶わずとわかっているから
早く思い出してくれ
(人生の終わりに謝るなんて)(甘い考えなのかもしれない)(だけどこれを見続けるのは辛いんだ)(俺はここで待っているから)(それまではあの時の罰として見続けるから)(早く俺を解放してくれ)
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