消滅 | ナノ



「うわ…食料ないじゃん」

リアが鞄を開いて言った最初の言葉がそれだった
中身は米、某スポーツ飲料、豆乳だった

「これでできる物……て何だろう…?」

今日の当番は確かフレンの筈だ
前まではフレンの料理は食えた物ではなかったのだが…
任せるときが多くなり、フレンの料理の腕が上がったのか…はたまた、リア達がその味に慣れてしまったのか…
兎に角、成功率はまだ低いもののマシになったことは確かだったのだ
でも、これだけで何を作るのか…ろくな物を作らない気がしてブルッと身震いした

リアが思考を巡らしてると、上から声がかかった

「その鞄貸してくれないかい?」
「あっ、ご飯作るんだね。それはいいんだけどさ。食料ないよ」
「…!ま、まさか全部食べちゃったのかい!?」
「んなわけあるか!死にたいの?
「ご、ごめんって!!冗談だから笑いながら剣突き付けるのはやめて!!」
「刀だって。何度言えばわかるの!?」
「ははは、とりあえず作ってくるよ」
「え?でもこれじゃあ…」
「豆乳があるし、豆腐は作れるだろう?」
「あ……確かに…」
「それじゃあ、行ってくるね」
「うん」

最近マシになっていたためリアは忘れていたのだ
彼が必ず人を気遣い"アレンジをする"ということを…
そして、その気遣いはこの世の物とは思えないくらい"最悪"だということを……







「皆、材料がなかったから豆腐しかできなかったけどできたよ」

『(……豆腐か…?これ…)』

一同は、その豆腐だという物体Xを見た途端、食べる気を失った

「(なんか豆腐にあるまじき匂いがするぞ…?)」

リアはそう思った

「(リア、鞄の中身は何が入っていたのかしら?)」
「(米と…豆乳に…某スポーツ飲料?)」
「(それだわね)」
「(それ入れなければ普通の豆腐できてるのに…)」
「(やっぱフレンには戦闘メンバーに入らせとくべきだったか)」
「(わふぅ…)」


5人と1匹で小声でそう話し合っているとフレンが笑顔で問いかけてくる

「皆、食べないのかい?エステリーゼ様、カロル、パティはもう食べ始めているよ?」
『え』

食べれるのかと思いながら三人を見るとエステルは顔を真っ青にしながらも何とか食べきろうと努力していた
残り二人は…

「おい、フレン。お前の料理で約2名失神してるぞ」
「酷いな、ユーリ。そんなわけ……あ…」

フレンは振り返って現状を見ると顔を真っ青にさせ、固まる
リアはエステルに駆け寄る

「とりあえずエステル。無理して食べなくてもいいからね?ていうか食べないで」
「い、いえ…そういうわけには…」
「フレンが可哀想とか思わなくていいから!本人今の状況に気付いたから!」
「は、はい…。うっ…は…吐きそ…」
「とりあえず吐きに行こう」

リアはエステルを連れて川の近くに向かった

「お前な…。殺戮料理を作んな!」
「そうね。アレンジをやめた方がいいと思うわ」
「スポーツ飲料入れなきゃこんな被害が出ることはまずないわよ」
「てか、何で入れたわけ?」
「食材を有効に使おうと…」
「飲み物よ!普通に飲んだ方が何百倍も美味しいわ」



下手なやつに任せるもんじゃない
(この後ユーリとフレンが失神してる二人を背負い)(前衛が手薄になったとかならなかったとか)


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