消滅 | ナノ
この痛みは誰のもの


「…っつ」

心臓が刺し貫かれた様な痛みに顔を顰め、片膝をつく
どうしたの、と仲間の中でいち早く気付いたティミデッツアが此方に駆け寄ってくる
おかしい
傷はとっくに塞がっていて何とも無かったはずなのに
それともあの精霊が嘘を吐いてやがったのか
いや、それはない
最初の時に確かめたはず

「皆、ちょっと休みましょう!」
「……俺、の…」
「……え?」

ティミデッツアの首に巻かれているマフラーを見ると、余計痛みが増す
古傷、というやつか
この体でまさか痛みがぶり返すとは思わなかった
だが、事実なんだから仕方ない
目を瞑って息を整える
すると少しずつ痛みが引き、立てるようになってくる
ゆっくりと立ち上がり、目を開け笑う

「…もう、大丈夫だよ。ありがとな」
「…本当に?本当に大丈夫?」
「大丈夫だって言ってるだろーが。急がないと置いてかれんぞ」

異常に心配してくるティミデッツアに大丈夫と言いながら前を向かせ背中を押す


この痛みは誰のもの
(輪廻前の俺のもの?それとも…)
(どちらにしろ、あのマフラーで痛み出したことは間違いない)
(でも、彼奴があれを身につけてて)
(輪廻前の俺を覚えていてくれたことは)
(嬉しかったんだ)


▼輪廻前の俺とはティミデッツアの唯一の親友


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