消滅 | ナノ
春の眠り


「…春休み、かぁ…」
「…どうしたの?春休みの少ない宿題さえ終わらなくて現実逃避してるの?」
「しばくぞ。女装チビ」
「うるさいなぁ、体力バカ」
「俺は体力バカじゃねえ、運動音痴」
「僕は運動音痴じゃないよ、男女」
「それはお前だろうが」
「いいや、君だよ」
「クソ餓鬼が……」

そこまで言ったところで光は面倒くさくなったのか、机に突っ伏して寝る体勢に入る
勉強机は窓側にあり、春の日差しが暖かい
だが、開かれた窓から吹いてくる風はまだ冷たい

「……風邪ひくよ?」

読んでいた本を閉じて忠告してみるも、もうすっかり夢の中らしく起きる気配はない

「…仕方ないなぁ」

本を置いてベッドから立ち、窓を閉める
そして、ベッドから毛布を取り出し光の背中にかける

「…いつもこう静かなら良いのに」

そう呟いて本を取り、土筆は部屋を出た


春の眠り
(ふぁ〜…。ん?これ…土筆が…?…まさかな)
(さて…僕も寝ようかな)


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