「おじょーさん、こんなんに興味あんの?」
悪く言えば、ある意味見た目通り、でも良く言えば、人を安心させるような優しい話し方をする人だと思った。片方の目は真っ直ぐにわたしの目を見ていて、視線を逸らさせない。とりあえず危ない人ではなさそうだと判断し、彼に口を開いた。
「いや、まあ、普通に綺麗だなって」
「ふーん。アンティーク好き?」
「いや、そんなに…」
そこで彼はぷはっと吹き出すように笑った。何だ何だと少し困ってしまう、彼は再びわたしの方を見る。
「アンティークショップ来て、そんなにって、」
そりゃないっしょ!と言って再び笑い出す彼に、まあ確かに。だんだん恥ずかしくなってきて、顔が熱くなってきた。いつまで笑ってんのこの人。怪しい人っていうよりは、とりあえず失礼。
居心地の悪さを感じながらじっと立ち続けていると、膝を抱え込んで笑っていた彼もやっと顔を上げ、見上げる形でわたしに言った。
「まあ俺も、古いもんって言ったら古着ぐらいしか興味無いし」
店員なのにな!って悪戯っ子みたいに笑う顔に少しどきりとした。ていうか、この人、ここの店員なの?
「店員って、ここの?」
「?他にどこがあるんさ」
確かに。ごもっともだ。でも、髪の毛オレンジでアイフォンすらすら操作する人が古ぼけたアンティークショップの店員だとは、まさか誰も想像しないだろう。ていうかこっちの方が変じゃん。
お前、変なやつさな。
むかつくことを言われているのに、なんとなく悪い気がしない。
不思議な人。失礼な人。よく笑う人。どれも当て嵌まるけど、どれもぴったりじゃない。セピア色したアンティークも、灰色がかった曇り空も似合わない、ラビという名前の彼。
どれもこれも流れるよう
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