「ねーラビ、ここどーなんの?」

数式がずらずら並んでいる教科書をペンで指して声を掛けてもオレンジの男はベッドの上で寝転がったまま動かない。滑りの良い勉強椅子と一緒に左右に揺れてもう1回声を掛けたら、今度は欠伸が返ってきた。あ、涙目なってる。なんかかわいー。

「ラービー!体育以外で唯一の得意教科の数学のここ教えてよー」

「えーまだ読み始めたばっかさー」

「あたしのベッドであたしの漫画読むな!しかもそれあたしまだ読んでない!」

「受験生は大変さなー。よし、ラビお兄さんに見せてみ」

よっこらせって、じじくさい声が聞こえた。やっと勉強教えてくれる気になったみたい。てかうちの親から月2万の給料貰ってるんならしっかり先生しろ!
あ、なんか良い匂いする。香水か何かかな。

「ラビなんか香水の匂いするー」

「んー」

「ストライクしたお姉さんといちゃいちゃしてたんだー」

「何そのお前の中での俺のキャラ付け」

「だってそんな色の頭して垂れ目って、たらしー」

「え、まあ大人なラビお兄さんだし中学生の発言だから許してやろうな、次言ったらしばくけど」

「きゃー」

ほら、教科書どこ?ってペラペラページをめくっていくラビの長い指には何個か指輪が有ったけど、明らかに1つだけ、華奢な造りの可愛いシルバーリングがあった。どっかのお姉さんとペアなのか気になったけど、聞くのはやめておいた。直接聞いちゃうと自分でも気付かずに泣いてそうだ。数式にだけ集中しようとしたらまたシトラス。どんだけあたしの頭の中を掻き回すんだ、たらし。しかもこんだけ好きにさせといて望みは綺麗さっぱり絶たせやがって。その上嫌いにもさせないとかこの悪魔。たらしの悪魔。
ラビなんか嫌い、とは思えない。くそ。



ん、なんか動き止まってる。てか何見て…ってうわ、指輪見てんじゃ。どーしよ、受験終わったらこいつの分渡そうと思って買ったけど、やっぱ自分の分だけ着けてきたのはマズかったか。絶対、どっかのお姉さんとペアとか思ってる、泣きそーな顔なってるし。あ、なんか可愛い。ほっぺたとか若干赤くなってるような。だって早く指輪着けたかったんさ!なんてゆーの?指輪買った時の達成感?俺やってやる、渡してやる!みたいな感じのが忘れられなかった、っていうか片方だけでも着けてないと、ずっとペアで箱に入れたままんなってそうだったし…。てか、こいつ酷い!ちょっと良い感じのシトラスの香水してきたのにお姉さんといちゃいちゃしてきたんだーとか言うし!拗ねてやる、受験終わるまで好きって言ってやんない!



触れそうなほど近いのに
(t.にやり)
居間へ相互記念。遅くなってごめん!
090505かける


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -