The Dazzling Special Girl
※夢主はnotスタンド使いだけどスタンドが見えるし触れられる特殊体質設定 とある放課後、杜王町の道端にて露伴先生を発見。偶然を装って近付くため毎日放課後に町を出歩いてついに、ついにこの日がやって来た!
「こんにちは、露伴先生。突然ですが、先生のスタンド見せて下さい」
――この杜王町にはスタンド使いと呼ばれる人間がそこかしこに溢れている。もちろん友人である仗助くんや億泰くん、康一くん、由花子ちゃんがスタンド使いだという事も知っている。
しかし不思議な事にスタンドというものは普通の人間には見えないのに、スタンド使いでない私にはそれが見える。でも一番不思議な事は、そのスタンドの効果が私には一切効かないという事である。詳しい原因は私自身もわからない。
「何だね君は。どこかで見た気がするが……仗助たちの知り合いだったか?」
そんな時仗助くんたちの知り合いの漫画家、露伴先生に一目惚れをした。でも先生にはそれほど印象には残っていないと思う。一度会っただけだし、私は自他共に認める本当に平々凡々な女子高生だから。
そんなこんなで何とかして先生に近付きたくて仗助くんたちにアドバイスを乞うてみたけど、各々の露伴先生に対する評価はあまり良くないようで「やめておけ」と一蹴されてしまった。由花子ちゃんに至っては「あなた趣味悪いわよ」とバッサリ切り捨てる始末。
しかしそこで簡単に諦める私ではない。結局友人たちの意見を無視してアタックする事に決め、こうして先生の興味を惹きそうな一言をかけた。やっぱりインパクトがないとね!
「はい。みょうじなまえです」
「スタンドの事を知ってるという事は君もスタンド使いか?康一くんを本にした時にはそんな事は書いてなかった気がするが……」
「ふふっ、どうでしょう?知りたいですか?」
「そりゃあ知りたいか知りたくないかって聞かれたら知りたいね。いい作品作りのために常に最高のネタを求めているからな」
思った通り食い付いて来た!にしても話に聞いてた通り、本当に漫画の事しか考えてないんだな。
どうやら康一くんによると、先生は対象を本にする能力を持っているらしい。その人の人生すべてが本となって書かれるんだとか。
今も何食わぬ顔してるけど、すぐさま攻撃を仕掛けて私の事を本にしようと思っているだろう。
「『ヘブンズ・ドアー』ッ!」
ほら来た!でも残念!私にスタンドは効かないんですよ、先生。というか会ってすぐにスタンド発動させるって結構容赦ないな。
そしてそれを知った先生はその事実に驚愕してそんな謎めいた私に興味を持つに違いない!そう、私の目的はこの不思議な体質を持った私に興味を持ってもらう事!漫画のためなら手段を選ばないと言われている先生なら確実に食い付くはず。
先生のスタンドは帽子を被った人型のスタンドらしい。……あれ、これ先生が描いてる漫画の主人公と同じだ。仗助くんたちのスタンドは比較的がっしりしているから、何だか先生のスタンドがすごく可愛く見える。一番好きかも!
「なっ、どういう事だ!?『ヘブンズ・ドアー』!」
「可愛い〜!」
勢い余って、宙に浮きながら近付いてきたヘブンズ・ドアーに抱きついてみれば、驚き、困惑、嫌悪などが入り交じった表情が見事に先生とリンクしていた。何これ可愛すぎるんですけどっ!
「どうなってるんだ……!?なぜ攻撃が効かないッ!?」
「それは残念ながら私にもわかりません」
「そんな事より今すぐ離れろッ!!」
しぶしぶ離れればヘブンズ・ドアーはスーッと消えてしまった。あーもっと見たかったのに!そんな事を思う私に反して先生は私の事をバリバリ怪しんでる顔をしていた。しかしそれも予想の範囲内。
「何者なんだ貴様ッ!」
「そんなに警戒しないで下さい。私はいたって普通の女子高生です。ただそのスタンドとやらが効かない体質、という事だけ」
さあさあ興味出てきたでしょう?もっと私の事知りたいって思ったでしょう?訝しげに、しかし好奇心を抑えられないといったその表情!先生にとって私という存在はこれ以上ない最高の『資料』じゃあないですか!?
「何が目的だ、と言いたいところだが……正直君のその体質とやらにはとても興味がある。本来ならこのヘブンズ・ドアーで本にすればそいつの全てがわかるんだが、君にそれは効かない……くそッ、すごく好奇心をそそられるじゃあないかッ!」
「でしょでしょ?そんな私の事、もっと知りたいと思いませんか?」
「ああ、もちろんだ!滅多に現れない最高の素材が今ぼくの目の前に存在してるんだ、こんなチャンスを逃すわけがないッ!なまえ、君はどんな人生を歩んで来たんだ!どんな人間なんだ!君の事を詳しく教えろッ!」
さっきまでの怪訝そうな顔をしていた先生はどこへやら。今やすっかり好奇心で埋め尽くされているみたいで、それは嬉々とした表情が物語っている。
不覚にも両肩をがしりと掴まれた際に顔を近付けられて思わずドキッとしてしまったじゃあないか。
でもこの私に対する興味が漫画を描く上でのネタの一部という事を思うと、恋する女子からすれば悲しいものである。いや、もちろん先生がそういう人だという事は理解していたし、それを承知で近付いたのだけど……ネタ提供以上の親密な関係になりたい!というのが本音。むしろそっちの方がメインと言っても過言じゃあない。趣味が悪いと言われようと関係ない。私はそんな先生が好きなんだッ!
「私も先生の事が知りたいのでそれは構いません。ですが条件がひとつ」
「なんだ、金なら君のネタが面白ければいくらでも出してやる」
「いえ、お金なんていりません」
「じゃあ何だ」
「今すぐにとは言いません、」
生まれてこのかた16年、平凡な私でもそれなりの波乱万丈の人生を歩んで来た。どうでもいいくだらないネタからそこそこ役に立ちそうなネタ、笑えないヘビーなネタ、記憶から抹消したいほどの黒歴史に近いネタ――少なからず先生の漫画のネタになる価値はそれなりにあると自信を持って言える。
後悔なんてさせないし、期待も裏切らない。だからそんな私の事をたくさん知って、あわよくば好きになって、そしていつか私を――
「いつか私を先生の彼女にして下さい!」
2016/11/15
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