ss
「先輩、勉強教えてくれませんか」

ボトルを片付けていると後輩の影山くんから唐突にそんなお願いをされた。

「え?勉強はやっちんに教えてもらってるんじゃなかった?」
「そうなんすけど日向がいちいちうるさくて集中出来ないんで」

露骨に嫌な顔を見せる影山くんと容易に想像出来る日向くんのその姿に思わず笑い声が漏れてしまう。確かに二人が言い合ってたら進まないかもしれない。

「そういうことか。でも私、多分やっちんより教えるの上手くないよ?」
「そんなことないっす。それにマンツーマンの方が集中出来るし……」

尻すぼみになりながら呟く影山くんはどこかいじらしい。確かに影山くんのようなタイプは付きっきりで見てあげたほうが合ってる気がする。よし、ここは先輩として頼れるところを見せてやろうではないか!

「うん、いいよ。その代わりスパルタで行くよ。補習になったら部活出られないからね。死ぬ気でついてこい後輩!」
「ウ、ウス!」

「影山がみょうじに勉強を頼み込んでるだと……!?」
「おーどした田中」
「スガさん!あれ見てくださいよ!」
「あの二人がどうかしたのか?」
「影山相当やる気っすよ!あのスパルタみょうじに自ら志願するなんて気合いが違うぜ。まーそりゃそうだよな、赤点取ったら合宿にも出られねぇし」
「田中、おまえほんとわかってねぇなー!あれは影山なりのアピールだべ」
「えっ、そうなんすか!?」
「(あいつバレーのことしか頭にないと思ってたけど案外そういうわけでもなさそうだな……)」

2024/03/30 (Sat) 11:46
- ナノ -