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「ねー研磨」
「何?」
「烏野の日向くんと連絡先交換してなかったっけ?」
「してるけど……それが何?」
「私にも教えてもらうことって……」
「やだよ。知りたいなら自分で聞きなよ」
「むぅ……」

至極面倒くさそうな表情でため息を吐く研磨は私の気持ちを知ってか知らずか無慈悲な言葉を浴びせてくる。まったく酷い幼なじみだ。少しくらい協力してくれてもいいじゃないか。

「翔陽のこと気になるの?」
「そりゃあの身長で誰よりも高く跳んでたら気にもなるよ。あと元気なところが可愛い。あの明るさは研磨も少しは見習った方がいいよ」
「余計なお世話だし一生むり……」



「あ、いたいた!日向くん!」
「ハ、ハイッ!!」

烏野と練習試合を終えた後、早速日向くんに声を掛ければ元気な声が返ってくる。やっぱりいつ見ても元気をもらえて自然と笑顔になる。少しだけ……いや見るからに緊張してるところも可愛い。

「お疲れさま!今日もすごい跳んでたね!」
「アザスッ!!」
「あの、それでもし良かったらなんだけど、連絡先教えてもらえないかなーって……」
「し、清水先輩のはおれ知らなくてっ!聞いてきましょうか!?あっ、それとも影山だったり、」

勇気を出して聞いてみれば、相手が自分である可能性が一ミリもない的外れな答えが返ってきてつい声を上げる。

「あぁ違う違う!きみの」
「え!?お、おれ、ですか?」
「うん、そう。今日のスパイクすごくカッコよかったよ!だからもっと日向くんのこと知りたいなって思って……ダメかな?」
「全然ッ!!ダメじゃないです!あ、携帯カバンの中だ!」

慌てている日向くんにそんなこともあろうかとあらかじめ用意していたメールアドレスを書いた紙を渡すと、ほんのりと頬を染めてあからさまに緊張が見えるカタコトなお礼を述べていた。

「これ、私のアドレス。時間ある時に連絡してくれたら嬉しいな」
「ハイッ!」
「頑張ってね」

手を振ると両手でその紙を持ったままぺこりと頭を下げていた。


「おい日向、おまえ音駒のマネージャーから何かもらってなかったか?」
「アドレス交換したいってもらった!」
「それ敵情視察だろ。仲良くなって色々聞き出されるぞ。浮かれてんじゃねェ」
「なんだ影山くん嫉妬かな?」
「ハァ?ちげーよ日向ボゲェ!」

2024/03/30 (Sat) 11:43
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