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「先輩全然酔わないですよね」
「そう見えるだけだよ。実際はちょっと頭フワフワしてる。アキくんは飲める割に酔うの早いよね」
「言うほど酔ってはないです。酒癖悪い姫野先輩に比べたらマシなもんでしょ」
「確かに。姫野はキス魔になるからね〜。ね、初めて姫野に唇奪われた時どう思った?」
「特に何も。ゲロ吐かれなかっただけマシですかね。だいたい、酔ってる人間相手に気にするだけ無駄じゃないですか?」
「気にするだけ無駄かぁ。じゃあ私が今ここでアキくんにキスしても何とも思わない?」
「俺がどう思うかよりも先輩自身がやらかしたことを後悔しそうですけど」
「……でもバカになんなきゃできないことってのもあるじゃん」
「じゃあ思いきってバカになってみたらいいんじゃないですか」
「なれるならなりたいよ。でもアキくんに何とも思わないって思われたくない。から、やらない」
「……俺は相手が先輩だったら何とも思わなくないですよ」
「やっぱ酔ってるでしょ」
「そうかもしれないです。……帰りましょうか」
「だね。そんで今日のことはなかったことにしよう」
「バカになるのも簡単じゃないですね」
「ホントにね」


酔った勢いができない真面目な二人。
2021/03/10 (Wed) 12:43
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