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※連載/パラレルif
※萩原さんが普通に生きてる世界線
※完全なるご都合主義
※逆ハー気味


喫茶ポアロで働く、しがない女性店員――七瀬水稀。至って普通の女性であり、至って普通の毎日を過ごしている。
変わったところと言えば、同じ店員として働く安室や同居している大学院生の沖矢をはじめ――関わる男性のほとんどが世にいうイケメンだということであった。言うまでもなく水稀の日々はもれなく充実していた。
そんな時、ひょんなことから二人の男性と仲良くなる。水稀が落としたハンカチを萩原が拾ったのがきっかけだった。水稀が何かお礼を、と言えば萩原は「君の連絡先、なんてどうかな?」と爽やかなウインクを投げかける。もちろんイケメンにそんな風に言われて断る水稀ではない。通常運転の萩原に松田はまたかとため息を漏らした。と同時に連絡先を交換する水稀のことをとんだ尻軽女だな、と訝しげに見つめていた。

それからたまに連絡を取り合い、食事に行くまでの仲になった頃。

「七瀬ちゃんもう店にいるって」
「なんで俺まで……つかあいつに気があんなら二人で行けよ」
「別にそういうんじゃないって。陣平ちゃんはもっと気楽に行こうぜ」
「萩、お前は少しは警察官としての自覚を持て」
「手厳しいィ〜」


その後三人は合流し、他愛ない世間話に花を咲かせて早数時間。お酒も進み、水稀と萩原は相も変わらず盛り上がっている。

「萩原さんって女の子の扱い方よくわかってますよね!私単純だから萩原さんみたいなイケメンに褒められたら嬉しくて舞い上がっちゃいます!」
「女の子は褒められて綺麗になるって言うもんね。七瀬ちゃんがそうやって笑ってくれるだけで男冥利に尽きるってもんよ。それに素直な女の子はカワイイよ」
「くーっ!イケメン!萩原さんカッコイイ〜!」

そんな二人のやり取りをどこか面白くなさそうに見つめる男が一人。水稀が吐く褒めセリフも、萩原が息を吐くように褒めるセリフも何もかもが薄っぺらい。恋愛ごっこをしているほど警察官は暇じゃない。二人の楽しげな声を聞き流しながら松田は枝豆を咀嚼しビールで一気に流し込んだ。

2020/06/08 (Mon) 23:14
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