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何もしていないのに体は疲労感でいっぱいだった。いや、何もしていないからか?とにかく何をするにもやる気が出ない。だるい。何でもいいから癒しが欲しかった。

「どこか体調でも悪いんですか?」
「え?」
「何だか暗い表情をしているように見えたので……」
「ああ……いや、単にちょっと疲れてるだけ」
「そうでしたか。くれぐれも無理はしないで下さいね」
「!」

頭にふと重みがかかったと思えば、それから柔らかな手つきで髪を梳かれる。
好きな人に頭を撫でられるだけで満たされた気分になるのはどうしてなんだろう。自然と顔が綻んでしまうくらいには効果は絶大だったらしい。

「気休め程度に少しでも気持ちが和らげばいいんですが」
「……気持ちいい……」

撫でられる感覚がとても心地よくて、私は無意識に縋り付くように彼の胸に顔を埋めていた。
ポアロで人気のイケメン店員も今だけは私が独占している。それだけで不思議と疲れも吹っ飛ぶというものだ。

「僕で良ければいつでも胸を貸しますよ」
「ありがとう。おかげで気分が晴れた」
「なら良かった」
「疲れた時はまたこうしてくれる?」
「あなたの望みとあらばいくらでも」


とにかく癒しが欲しいんじゃ〜〜!
2018/05/15 (Tue) 22:25
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