@ラス系+α小噺倉庫 1225 魔都/主音 「なー、なあ龍ちゃん」 「……」 「龍ちゃん…っおい、龍ちゃんってば!」 「何だようるせえなあ…」 「何でさっきからオレの前に立ってんの。誤射しそうでこええんだけど」 「んー」 「人の話聞けって!」 「音江はまだうちに来て日が浅いので、戦力的に信用が置けません。あと怪我しててソナーも使えないしな」 「はあ…?」 「だから俺が護衛兼共闘してんの。…鉄栴、聞こえる?そっちどう?」 《おう師匠、こっちは粗方片付いたぜよ。わしも山河も無事じゃ》 「おっし、了解。じゃあこっちもさっさと…って、おい!音江出張るな!」 「うるせェ!自分の戦力馬鹿にされて大人しく後衛に収まれるか!」 「お前自分の死角分かってんのか!…ったくもう!イーグルアイでさっさと見つけて…!」 《…おい、どうした音江?何故突出した?…っゴーストがこちらを発見したぞ!》 「ああもう…!」 「くっそ、どこだ…!……あっち、か!」 「違う!その一歩前だ、馬鹿野郎が!」 「ぐ…っ!おい、どけよ!どけ!邪魔だ東摩ァ!」 「黙れッ!邪魔なのはお前だ!クソが…っ鉄栴!トラ!こっちの援護頼む!ゴーストの居場所は俺から2マス前!支我、二人の誘導頼む!」 《了解ぜよ!まっちょれ!》 《おいおい…どうなってんだ新人の野郎は!》 《了解した。無理はするなよ、龍ちゃん》 「ああ!…守護霊の剣かけまくってて良かったな…おら、狙えよ!俺はここだぞ落武者!斬り掛かってこいよ!」 「どけ、どけってば…!オレの前に立つな!龍ちゃん、やめてくれよ!なあ!」 「負傷したお前の前に立たないわけないだろ。ソナーも使えない、その上大事な腕まで負傷してる。むしろそんな状態でよく俺にどけとか言えるな」 「オレはまだ戦えるんだよ!こんな傷…っ」 「今までどんな戦い方してきたか知らねぇけどな、これが夕隙社の戦い方なんだよ。何のために出来る限り四人で出動させてると思ってる。霊をなめるな」 「お前に言われなくても知ってんだよそんなことは!」 「知ってんなら尚のことだ!俺に守られろ!俺を頼れ!俺を使え!」 「…っ!」 「落武者に斬り掛かり次第俺は右に逸れる。その瞬間を狙え。ここなら真っ直ぐ射抜ける」 「は…?」 「頼むぞ。…俺の背中撃ち抜かないでね?」 「な…っ龍ちゃ」 「来るぞ!…お、っらァ!消えろ!」 「……っ好き勝手、言いやがって…!」 * 「全く…相変わらず紙一重の戦法が大好きらしいな、龍ちゃん」 「てへへ?でもちゃんと生きて帰ってるから偉いだろ。もっと褒めてくれても良いのよ支我くん?」 「褒めない。褒めたら調子に乗るからな、お前は」 「手厳しい。…鉄栴もトラもお疲れお疲れ」 「師匠が落ち武者の霊前にして前項姿勢になったときは心臓が凍り付いたぜよ…」 「ほんとにな…真っ正面から斬られたのかと思ってひやひやしたぜ」 「抜刀速度極めただけあって流石に初手は譲れないなーははは!」 「…はははじゃねーよ」 「おう、治療終わったか音江」 「………」 「傷は塞がったわ。表面上だけだけどね。少しの間は安静にしておいた方が良いわよ」 「サンキューさゆりちゃん!」 「龍介、あんたはもう少し言葉選びなさいよ、馬鹿」 「ばか?!」 「…あんたも大概ひねくれ男だけど、こっちもかなりのひねくれ男なんだから。もっと分かりやすい言葉で言いなさいって事」 「……」 「えええ…あれでも結構考えて発言してたんだけど俺…」 「あたし達にはそれで良いけど、こいつとは会ってまだ数週間でしょ。簡単に言えば良いのよ。大事な仲間をこれ以上危険に曝すわけにはいかないって」 「いや、うん、まあ…面と向かってそう言うの恥ずかしいじゃん!」 「知らないわよ」 「分かってさゆりちゃん!この複雑な男心!」 「分かりたくもないわ。…じゃあ、私は先に帰るわね。お疲れ様」 「お、そいじゃあわしも帰るかの。また明日の、皆の衆!」 「……俺は」 「山河、ここは空気を読んで帰ろうな。編集長と萌市は30分後に帰社するらしい。それまでは残っててくれ。じゃあ、お疲れ」 「う、うん。お疲れです」 「おい、押すな支我!あいつと龍ちゃん二人っきりにしとくのかよ!おい!」 「良いから、大丈夫だ」 「大丈夫かどうかは分かんねえだろ…って車輪!車輪で俺のふくらはぎを攻撃すんじゃねえ!」 「………」 「……」 「…えーと、さっきは、まあその、説明不足でごめん」 「……」 「大体はさゆりちゃんが言ってた通りで、別に音江の実力を疑ってるわけじゃなくて、心配、だった面があって」 「……」 「…あんまり無理して欲しくないんだ、俺と出撃するときは。いや、俺が居なくても無理はして欲しくないけど、俺の居る前で必要のない怪我はしないで欲しい」 「…除霊ってのは、いつも危険と隣り合わせだろ」 「それはそうだけど、じゃあ何のためのブリーフィングだってなるだろ。極力こちらの被害を抑えて確実に除霊する。俺はそれをモットーにしてる」 「……」 「とりあえず俺としては、折角一緒に戦ってんだしお互い利用…じゃなくて協力し合おうぜって言いたいだけ、です」 「………」 「ま、今日の経験は次に活かそうぜ。ってことで、音江も帰って良いよ。俺が残るから」 「……ごめん」 「え?」 「色々気にくわねェけど、助けられたのは事実だ。そこは感謝してるし、無理に突出して悪かった」 「お、おう」 「……けど、次はもう少し信用してくれ。オレだって、ここの奴らと同じくらい戦える自信はある。民間人に負けてらんねェし」 「おう、そっか」 「…だから」 「分かった!今日あの落武者仕留めたのもお前だしな。次も協力頼む」 「……ん」 「んじゃ傷開かないように気を付けて、早いとこ帰れ。な?」 「…もう少し残る」 「いいよ、俺居るし」 「そんな柔じゃねえよ、オレ」 「えー」 「えーじゃねえって」 「いや、まあいいけど…」 「よ、っと…ふー…」 「……音江、何か近くね?」 「そうか?気のせいじゃねェ?」 「……?」 東摩の代弁者さゆりちゃん。 DBの東摩は基本日本刀遣いでやってます。めっちゃ物壊します。 ×
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