∈でーえむえむそうこ∋

0810 剏ユの威を借りる






「えっと…全部五百…と」

「………」

「小鳥、小鳥。船を漕いでいるぞ」

「…艇だけに…ふふっ」

「五虎退…これは…」

「ええと…ここ暫く僕と出陣漬けだったので…」

「ああ…疲れているのだな…」

「…あるじさま、資材の設定は終わりました」

「……ん、ありがと」

「あわわ…」

「……小鳥…」

「んじゃ、鍛刀開始しますか…」

「…小鳥、私にもそれをしてくれないか」

「え?それ?」

「擦り寄るような…頭をぐりぐりと押しつけるそれを…」

「……え、いや、えっ…えー…それは、ちょっと…」

「ダメか…やはり短刀に限るのか?」

「…でも、正国さんとか、してますよね…?」

「いやあれは頭突き合いっていうか…えー…俺より大きい人はちょっと…」

「……」

「分かりやすくしゅんとしないで…今から一文字一家を鍛刀せしめようって言うのに山鳥毛がその調子じゃ来るものも来ない気がする…」

「…じゃあ、私を喜ばせてくれ」

「……ご、五虎退…」

「えっ僕ですか…!ええ…えええ…」

「……」

「…山鳥毛…拗ねないでよ…」

「……ふふ」

「あ」

「その困り顔、頂いた」

「……趣味わりー…」

「ふふふ」

「…はー…いいや。やろうか、五虎退」

「は、はい…!がんばります…!」

「そんなに意気込まなくていいよ。ダメで元々。俺の引きの悪さはみんなが知るところだし」

「うう…でも、あるじさまのご期待に、添えるのなら…!」

「…ん、分かった。じゃあ、やろう」

「はい!…では、お願い、します…!」

「……俺こっちの妖精さんは見えないんだよなあ…」

「こっち?」

「艇に憑いてる方の妖精さんは見えるんだけど…本丸にいるらしい妖精さんはちっとも…お、時間が」

「三時間二十分…」

「はは、鶴丸かな?」

「どうでしょう…えっと、どうしますか…?」

「手伝い札を使おう。あまりのんびりもしてられないし」

「はい…!じゃあ、これを…!」

「…なんとなく、だが」

「?」

「来た気がするぞ」

「……え、マジ?」

「顕現します…!…わっ」

「…お初にお目にかかる。日光一文字、只今見参である」

「………」

「わあ…」

「…ああ、久しい顔だ」

「お頭…ああ、なるほど。不思議と誘われる気がした」

「………」

「……あれ?あるじさま…?」

「小鳥?……どうした小鳥、鍛刀せしめたぞ」

「……えっ…現実?」

「現実だ。そら、私の目をよく見ろ」

「山鳥毛実は幻惑を扱えるとか…」

「扱えない。…我が一家を鍛刀してくれたこと、感謝する」

「あ、ああ…ってか、近い…」

「感謝の抱擁を送ろう。流石だ小鳥。それでこそ我が主だ」

「わぷっ」

「おっ」

「……お頭、間で短刀が苦しんでいます」

「おっと。…すまんな五虎退。小鳥ごと抱き締めてしまった」

「だ、だいじょうぶです…!」

「…小鳥、改めて紹介しよう。我が片翼たる刀、日光一文字だ。どうか宜しく頼む」

「…よ、ろしく…おねがいします…」

「ああ」

「…相も変わらず愛想のない刀だ。だが、変わらぬその風体に安堵した。改めて頼むぞ、我が翼」

「御意」

「……うわー…びっくりしたあ…」

「僕も…びっくりしました…」

「…五虎退、お手柄だ。今日のおやつにご褒美を付けようね」

「え!ほ、ほんとですか…!」

「うん。…けど、その前に…」

「あるじさま?」

「ッ散れ!集まるな!仕事に戻れ!」

「げっばれてた!逃げよう清光!」

「ほらあ…主に隠鬼で勝てないの忘れたのかよ…あっ主おめでと!」

「今日はお祝いご飯だね!僕腕を奮うよ!」

「…なら俺は、野菜の収穫に行く」

「うん、宜しくね伽羅ちゃん!」

「……す、すごい…」

「知らぬ間に集まっていたのだな…」

「あれ全部鍛刀失敗かました俺を見るために集まってたんだよ。ほんと酷い奴らだよ」

「…慰めようとしていたんじゃないのか?」

「どうだか。…さてと、じゃあ山鳥毛、日光の教育係は任せてもいいかな」

「ああ、任せて欲しい。子猫もいるしすぐに馴染むだろう」

「うん、頼んだ。…日光、また夕飯の時にでも。行こう五虎退」

「はい…!それでは…!」

「……お頭」

「ふふ…可愛いだろう、我らが主は」

「かわいい…?」

「…まあ、お前はまだあの子を知らないからな。…我らも行こう。子猫にも会わせたいしな」

「……お頭、あれは可愛いと言うには大きすぎるかと」

「背など些末な問題だ」

「……?」



期間限定鍛刀系で初めて勝利しました!!!!ありがと五虎退!!!
そんなわけでいきり勇んで貝殻集めに連れ回してレベリングしてます。





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