∈でーえむえむそうこ∋

0131 剞V人研修






「はーどっせい」

「い、ってえ…!」

「よーし、OK」

「なにがオーケーなのか分からないが…うむ、強いな」

「クソ…!」

「というわけで、ムキムキ系審神者なので、よろしく」

「………はっ!今のは笑うところか!はっはっは!」

「いや別にそういうわけじゃ…おい笑うな大包平」

「面白かったぞ主!さあ次は俺とだ!」

「……大丈夫、肥前?」

「さわんな。…このくらい平気だ」

「そっか、なら良かった」

「主!リベンジマッチだぞ!」

「……お前も懲りないというか飽きないというか…」

「当たり前だ!今ここでの俺の目標は主を倒すことだからな!」

「勘弁して…というかもっと大きな目標持って」

「そう言いながら構えるとは…さてはやる気だな!」

「ちがぁう。…さっさとやってさっさとおやつだ」

「おやつ…?」

「今日はシュークリームだって」

「しゅー…」

「シュークリー…ッム!」

「うお!おい卑怯だぞ!」

「卑怯じゃない。…おっと」

「この…!」

「………」

「その無表情が!また!腹立た、しい!」

「笑えと?わっはっは」

「笑うな怖いぞ!目が笑っていない!」

「はっはっは」

「おいやめろ主!」

「……どうだった、肥前くん」

「は?」

「あの人間は、君から見てどうだったかな?」

「……別に、どうもこうもねぇけど」

「どうもこうもない、か。なるほど」

「…先生こそ、どうだったんだよ」

「いつか足をつねってあげようと思う」

「なんだそれ…」

「私は武闘派ではないとあれだけ言ったというのに…何の遠慮もなく投げられたからね」

「……」

「しかしこれが通過儀礼だと言っていたが…つまり短刀達とも、ということかな…?」

「…いやまさか、あんな子供を」

「短刀ともやったよ」

「おや。…聞こえていたかな」

「…どれだけ小さかろうがあれらも刀剣男士だ。子供の図体だからって…あぶなっ…手を抜くのは失礼だろ」

「……そう言う方向で礼を尽くすタイプか…」

「え?…いった…!…相変わらず重たい拳だな…!」

「チッ…甘かったか…!」

「…五虎退とかも…捻りつぶしたのか…?」

「とんでもないところに来てしまったようだね、肥前くん」

「あ、ああ…」

「ああもう!こ、の、野郎がっ!」

「ッ!……ま、参った」

「よし。…はー…あと誰投げないとなんだっけ、巴」

「江の四人と祢々切丸と…山姥切長義と北谷菜切と源清麿と水心子正秀…と、山鳥毛だな」

「………ん?」

「ん?じゃない。十人だ」

「……」

「どうする。十人抜きでも目指すか」

「いや…流石に勘弁して。打刀まではともかく祢々切丸と山鳥毛を連続してはきつい」

「そうか。なら日を改めて…内番の担当を鑑みながら俺が予定を組んでおこう」

「ん、頼んだ」

「ああ」

「……変な奴だな」

「変な奴だね」

「変変言うな。傷付く」

「変」

「変だと思うよ」

「吉行!同郷の奴らどうにかしろ!俺を虐めてくる!」

「なんじゃあ?」

「…主!しゅーくりーむを食べたらもう一戦だ!」

「お前もいい加減にしろ大包平!」





「…ほう…小鳥に投げられる…と?」

「いや、投げられるというか…本気で組み手するというか」

「組み手…子猫もやったのか?」

「おう。秒で潰された。…にゃ」

「なるほど。…それは楽しみだな」

「ひえ…」

「なーにビビってんだよ。お頭よりもでかい奴ぽんぽん投げてるだろ、お前」

「いやなんか…圧が…」

「…まあ、それは分かるけどにゃ」

「主いいいい!」

「巴、そっちの襖」

「ああ」

「ん!?なんだ!?襖が…おい!主、ここにいるんだろう!手合わせだ!俺はしゅーくりーむをもう食べたぞ!」

「……」

「……」

「……これは、黙った方が良いのか?」

「だにゃ」

「主!…ここの襖は鍵がかかったのか…!となると…自室に戻ったか…?くそ…逃がすか!」

「………ありがとう巴」

「この程度、造作もないことだ。…それにしてもあいつも諦めが悪いな」

「…今度戦艦級の奴連れてきて投げてもらおうかな…」

「無駄な気がするがな」

「うん…」

「あの鳥は随分と小鳥に執着しているようだな。…好かれている?」

「いやー…」

「あの執着は力への渇望だ。主は目に見える目標だからな。常に視野に入れておきたいのだろう」

「…だ、と、思います。はい」

「なるほどな。…刀として振るわれた歴史を持ちながら、更にそれを重ねようというのか。中々面白い」

「負けず嫌いの権化だよね」

「ああ、そうだな。…主、そろそろじゃないか」

「あ、そうだ。…さてと」

「…どこかへ行くのかい?」

「はい。…じゃない、ああ」

「中々敬語が抜けないな、小鳥」

「いや、その…うん…」

「お頭のお頭ムーブがそうさせてるんだろ。気持ちは分かる…にゃ」

「…隣町の海軍基地に行ってくる。今日はすぐ戻るよ」

「おう。んじゃ遠征部隊は予定通りに回すぜ」

「うん、宜しく頼んだ。山鳥毛は…そうだな、内番の見学とかしてもらえれば」

「分かった」

「行ってきます」

「ああ、気をつけてな、小鳥」

「……お頭は随分とアイツのこと気に入ったみたいだにゃ」

「気に入る…そうだな。不思議な子だと、思ってはいる。…それはともかく何故巴形はああも小鳥にべったりなんだ?」

「あー…あいつはなあ…出自が特殊な上、顕現以前の持ち手らしい持ち手がいないらしいから余計にあいつに肩入れしてるんだ」

「そうか。…なるほどな」

「軍関係の外出にも唯一付き添えるからあいつも良く連れ回してるしにゃ。…親鳥と雛って感じだ」

「ハハ、言い得て妙だな。…さてと、俺も本丸散歩にでも出てくるかな」

「……あ、お頭、一つだけ忠告しとくぜ」

「うん?なんだ?」

「屋根裏に上がろうと思うなよ」

「………ん?」



鶴丸さん徘徊の結果天井が老朽化している本丸。時々抜ける。
お頭のつつきすぎボイス聞きたさに死ぬ気で周回しました。小判は消えた。





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