∈でーえむえむそうこ∋

0116 凾イしゅうねん






「鶴丸、鶴丸ー?」

「ん?珍しいね、主が鶴さん探してるなんて」

「ああ…うん、まあね。いつもなら気付けば近くにいるんだけど…あ、いた」

「……え、今、主見て走って逃げた?」

「だな。…まったく…」

「な、何かあったのかい!?こんなおめでたい日に…!」

「白山鍛刀目指してぶん回してたんだけど、鶴丸がすごい来た」

「ああ…」

「それがこれまでの比じゃないくらい来てなあ…投入資材が多いのもあるけど」

「それで居たたまれなくなって…?」

「…というよりは恥ずかしがってる」

「えっ」

「少し前に鍛刀率がどうのこうのって話したばかりだったからね。…まあもう少し追いかけてみるよ」

「うん…えっと、その、ほどほどにしてあげてね…?」

「善処する」





「つるま…?」

「………」

「あれ、追いかけっこ終わり?どうしたの、立ち止まって」

「…主」

「はい」

「まずは、白山鍛刀の邪魔をしてすまん」

「それは気にしてないよ。縁がないものは仕方がない」

「…それから、その」

「……」

「……少し放っておいてくれないか…?」

「いやだ。顔真っ赤にしてる鶴丸放っておくとか無理だろ」

「鬼畜か君は…!」

「なんとでも。…お」

「いくら俺でもあそこまで連続して鍛刀されりゃ恥を感じる!我がことながら遠慮ってものを知らないのか本当に…!」

「…うん」

「三時間二十分が出たら九割で俺だったよなあ!?」

「だったね。あとは江雪と髭切か」

「――恥ずかしすぎるだろ…!」

「お前の言によれば、愛なんだろ?」

「今その話蒸し返すのはやめてくれ…!」

「…別にそこまで恥ずかしがらなくても良いよ。あそこまで来てくれたらいっそ見事だ。もう誇ってもいい」

「ちょっと黙ってくれ…!」

「……とにかく、せっかく本丸五周年の宴なんだ。取り乱してないで楽しもうよ」

「……っ」

「鶴丸」

「君は…っ俺が取り乱せば取り乱すほど冷静になるなあ!」

「天邪鬼だからな。…おいで」

「くそ…っ!」

「はいはい。…白が余計に赤を引き立てるな。面白い」

「君は本当に最低な男だ!」

「お褒めにあずかり光栄です」

「ぐう…っ!」

「…さてと。…このまま腰抱いて行こうか?」

「羞恥で刀剣破壊が起きるなら俺は大広間に行くまでに消えているな!」

「そこまで?…じゃあやらないけど」

「……でも手を繋ぐくらいならいい」

「許容範囲謎だなあ。…はい」

「ん」

「……」

「……この日を」

「ん?」

「君の五周年を祝えることを、嬉しく思うよ」

「……どうも」

「これからも恐らく俺は大量に鍛刀されると思うが…宜しくな」

「うん。宜しく」

「……離せ、離すんだ吉行。もういいだろう、突っ込む」

「やめろや!おんしゃあまっこと許容範囲狭いな!」

「巴さん!空気を!空気を読みましょう!邪魔をしてはいけない空気です!主君に殴られますよ!」

「主に殴られる程度些事だ」

「おんしゃあ…大丈夫かえ…?」

「主君の教育のたまもの…?」

「……鶴丸、さっさと行こう。外野が突っ込んでくる前に」

「こいつァ驚いたあ…そうだな」

「今夜辺りみぞおちに頭突っ込んでくるなこれは…」

「みぞおちに…頭…?」



実話。白山鍛刀ならず鶴丸を十振くらい鍛刀しました。もはや途中から数えるのをやめた。
サービス開始相模サーバー組なのでおめでとう五周年でございます。





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