∈でーえむえむそうこ∋ 0624 剋O時間二十分 「さあ!よく!分かっただろう!俺の!愛が!」 「分かった分かった」 「俺の!溢れんばかりの!愛が!」 「声が…声がデカい」 「山より大きく!海より深い!俺の!あ」 「うるせえ!」 「うぐへぇ!」 「自分がぽんぽこ鍛刀されたからって取り乱すな鬱陶しい!」 「……」 「…第一鍛刀される理由が審神者への愛とかそう言うのはウソだろ。縁ならまだ分かるけど、結局は貢いだ資材の量と確率の問題だ」 「り、りありすと…」 「…前太鼓鐘が頻発して鍛刀された時も確率がそうなってるんだと思ってたし、今回もそうだよ、多分」 「……」 「だから一々恥ずかしがったり反応するな」 「…確率、か」 「うん。…そりゃあれだけ連続鍛刀してりゃ鶴丸の一振りや二振りや三振来るよ」 「…白山は来なかったけどな」 「うるさいわざわざ傷を抉るな。…一人目は中々来ないものなんだよ」 「…一応俺も、鍛刀確率で言えば低い方なんだぜ?」 「そうらしいね」 「…縁なら納得するんだよな?」 「まあ」 「……いや…縁も愛だろ…」 「おお、項垂れた」 「十分愛だろ縁だって…」 「じゃあ鶴丸国永は俺恋しで白山を押しのけて鍛刀されたと?」 「…そう…だろ、これは」 「お前のせいか…」 「普通話そっちに持っていくか!?」 「冗談だよ。…まあ、もしお前の意思が他の鶴丸国永を呼び寄せたって言うのであれば、悪い気はしない」 「……」 「…なに」 「…君は相変わらず素直に嬉しいと言えないなあ…」 「うるさいな…」 「…まあこれで、俺の愛は理解できただろう」 「お前の愛のせいで新しい刀に会えないことはよく分かった」 「だから…驚くほどのひねくれ者だな…」 「ははは、今更知ったか」 「いや、前からよく知っている。難儀な審神者の元に来てしまったもんだ」 「………」 「…ふふふ、拗ねたな?」 「拗ねてないよ」 「君は結構感情が表情や声音に出やすいからなあ」 「…鍛刀も一段落したし居間に戻ろう。小腹が空いた」 「はいよ」 「……ん?誰か来る」 「お?」 「…っぬしさまぁ!」 「うっわびっくりした」 「障子外れてないよな?大丈夫か?」 「わた、私を!鍛刀したと!聞きました!」 「…ああ、うん、そうだね」 「となると…貰われっ子の私は…私は…どう、なるのでしょう…!?」 「……へ?」 「おー…これは…」 「純本丸産の小狐丸の方が…ぬしさまは、良いのでは…!」 「えええ…誰がそんなこと吹き込んだんだよ…別にどこ産だろうが気にしないよ。お前がうちの小狐丸だから。今更解刀なんてしないよ」 「ほ…本当に、ございますか…?」 「本当。審神者嘘付かない」 「……鶴丸、お主どう思う」 「えっスルー」 「主がこう言う時は言い方はともかく嘘は付いてないと思うぞ」 「言い方はともかくって…」 「……ぬしさま」 「嘘ついてない、ほんと」 「…ぬしさまぁ…」 「はいはい、コンコン」 「コンコン…」 「なんだそれ!なんだコンコンって!俺もそう言う相槌欲しい!」 「ええ…鶴ってどう鳴くの」 「えっ。……クェー…?」 「カラスか」 「鶴ってどう鳴くんだろうな…?新しい謎ができてしまったぜ…」 「…ところで…ぬしさまが抱えていらっしゃるのは…」 「うん?…ああ、大量に鍛刀された鶴丸国永」 「恥ずかしながら、俺です」 「恥ずかしがってなかっただろ…」 「……私は、いくつほど…?」 「小狐丸は…あー…三振くらいかな。なんか、同じ鍛刀時間のお爺ちゃんがよく来るんだ」 「おじ…三日月宗近がですか?」 「そう。…ついぞ習合限界まで来ちゃったからな、あの人」 「ま!俺は?俺はすでに習合限界を超えて?倉庫に沢山山積みになっているわけだが?だがぁ?」 「うっざい」 「うざくないぞ!」 「……」 「ほら小狐丸が拗ねた。見ろこのほっぺを。……ふかふかしてるね」 「むっ」 「……おお…小狐丸のほっぺ柔らかいな」 「……」 「おい、おい俺を置いていちゃつくな。やめろ。主!」 「へへへ」 「ふふふ」 「おい!花を飛ばすな!おい…ックェー!クェエエエエ!」 「鶴丸ご乱心」 「乱心ですな」 「鶴ってマジでなんて鳴くんだろうね」 「調べてみましょうぞ。…まあ、狐もコンコンとは鳴きませぬが」 「ケーンって鳴くよな」 「けーん…」 「…それも違うか」 「ふふ、狐も改めて調べましょう」 「うん」 「クェェェエエアアアア!」 「こわい」 「こわやこわや…鶴の嫉妬は見苦しいぞ、コンコン」 「やかましいわ!」 鶴丸さん三時間二十分組でダントツの出現率を誇っていて、ついぞ友人の本丸にも鍛刀せしめたときは大笑いしました。 ×
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