∈でーえむえむそうこ∋

0504 剪mらぬ誰そ彼4





「提出して頂いた血液等から異常は発見されませんでした。健康状態も問題なく、内的要因は恐らくないだろうとのことです」

「……そっか」

「推測ではありますが、恐らく外的要因…時間遡行が原因であろうと」

「まあ、そうなるよね」

「はい…刀剣男士達は時代それぞれではありますが過去の因子を持っています。ですが主様は純粋なる現在の人間です」

「うん」

「艦の記憶こそお持ちで多少なり耐性や適性はおありだったのでしょうが、やはり度重なる遡行で本来なら持ち得ることのなかった過去の因子を多く蓄えてしまい…肉体退行を引き起こしたのではないかというのが現状の結論です」

「……」

「その因子をどう取り除いていくか…これが未だはっきりとは分かっておりませんが、過去の似た事例を見るに遡行を控え現在に留まることで解決したものが殆どでした」

「現状維持が最適解かもってことか。…うん、分かった。ありがとうこんのすけ。多方に走り回らせて悪かった」

「いえ、この程度。…様子見という変化を促す結果でなく、申し訳ありません…」

「全然。前代未聞だったらどうしようかと思ってたから、昔似た様なことがあったって分かっただけでも良かったよ。元に戻った人がいるってのも安心材料になった」

「主様…」

「焦っても仕様が無いし、まあゆっくり様子見するよ」

「はい。…引き続き原因究明に努めますゆえ」

「宜しく頼んだ」

「御意に。…では」

「………だって」

「なんもできんっちゅーのは…やきもきするのう…」

「まあ仕方ねぇさ。どっしり構えていこうぜ」

「……」

「…巴?何か気になることでも?」

「…いや。…ただ」

「?」

「主に蹴られて痛くないのもあと少しかもしれないのかと…」

「……は?なに、寝相の話?」

「ああ」

「ぶはっ!」

「あー…千は寝相まっこと悪いきにゃあ…小さいうちなら可愛いもんじゃが…」

「護衛を兼ねて添い寝をしている間幾度となく蹴られてきたが、ここ数日は本当に…穏やかで…」

「いや穏やかではないがの。あの鶴がちょっとキレる程度にはやんちゃじゃがの」

「………うるせえ」

「あんまり言うと大将が拗ねるぞ。…さて、と。報告も終わったし俺っちは厩舎の様子でも見てくるかな」

「あ!そうじゃったわしも畑のキュウリ栽培する予定じゃき、行くぜよ!ほんならの!」

「……」

「……」

「……そんなに酷い?」

「寝返りが多い。あと布団をよく蹴る。暑いのだろうな」

「あー…」

「その蹴りの威力が相手の骨を折る勢いだ」

「…どうも悪うございました」

「ああ」

「ああ、って…」





「いやあ、主と買い物なんて久しぶりだねえ!」

「そう言えばそっか。いつも光忠に任せっきりだったからなあ…」

「えへへ…あ、僕と手繋ぐ?」

「……いや」

「まあまあ、そう引くなって。ほら、じゃあはぐれないように俺と手を繋いでおこう、主」

「大般若までガキ扱いしてくる…」

「実際今の大きさはガキだろう?文句言わずに」

「えええ…」

「揃いも揃って好き者だねえ。…あ、このお茶おいしそう」

「小竜…」

「うん?…あ、俺と回る?」

「そうする…」

「えー」

「ふふ、残念だな大般若。主は俺を選んだようだよ?」

「主…あんなに可愛がってやってるのに…酷い男だ」

「主!僕と回ろうよ!今ならアイスも許すから!」

「何度も言ってるけど外見がこれなだけで中身いつもの俺だからな?アイスだけで籠絡されると思うなよ?光忠と行く」

「存外単純だな、主!」

「というかこれは俺も小竜もアイスに負けたということじゃないか?」

「ええ…それはそれで何というか…複雑だな…」

「俺高いアイス食べたい」

「いいよ!主の好きなもの選んで!」

「よっしゃ」

「光忠」

「あ、小豆さん!謙信君も!果物、なにかいいものあったかい?」

「みかんがだんぼーるでうってあったのでもってきたぞ」

「わ、ほんとだ!…謙信君、受け取ろうか?重いでしょう?」

「だいじょうぶだ!ぼくはつよいこだから、このくらいもてるぞ!」

「ふふ、そっか!じゃあ…みかんだけ先に買って車に積んでおくかい?」

「そうだな。…ばななもあったから、これもかっておこう」

「うん!」

「…それと、光忠」

「うん?」

「あるじをあまやかすのはかんしんしないぞ」

「おっと突然なにかな?」

「それにあるじにあいすをかうのであれば、ほかのたんとうたちやひいてはほんまるのみなにかうべきだと、おもう」

「う゛っ」

「はっはっは、ド正論で突くなあ」

「主がそっぽ向いて聞いてないふりしてる。おーい、あーるーじー」

「……アイス買ってもらうもん」

「もん!?」

「あるじも、なかみはいつもどおりだというのならばそれそうおうのふるまいをしなさい」

「……うっす」

「ああ…あああ…」

「俺あれ知ってるぞ。親戚のおばちゃんだ。久しぶりに会った甥とか姪に何か買ってあげたいけど親に止められて買えなくて苦しんでるやつだ」

「詳しいな小竜」

「乱と一緒に見てたドラマに出てきたんだ」

「ほう…今度俺も見てみよう」

「…では、くだものだけさきにかっておくぞ」

「はい…お願いします…」

「意気消沈を体現しているな」

「光忠、頑張れ頑張れ。言うほど主は落ち込んでないぞ」

「え…?」

「…ん?」

「……主、アイス買ってあげられないけど、僕と来てくれるの?」

「まあ」

「あるじ…!」

「えっそこまで…どれだけ信用ないの俺」

「今更」

「何を言って」

「おい小竜に大般若。酷いぞ。否定はしないけど」

「否定しないんだ」

「星の数ほど言われてきてる」

「ええ…それは君…改善しなよ」

「……うん」

「さ、じゃあ俺たちも各々行こうか。光忠、今日は何を買うんだい?」

「えっと今日はね…」

「……喉渇いた」

「よしジュースを買おうね!喉が渇いたなら仕方がないよね!」

「隙あらばだな…」

「光忠、俺も喉が渇いた」

「大般若さんは大人なんだから我慢して」

「ええ…」



長船全員揃ったんすよ…そして長船で今一番強いの謙信君なんですよね…もうちょっとでカンストです。





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