∈でーえむえむそうこ∋

0409 剪mらぬ誰そ彼2






「げふう」

「いつものノリで食ったらそりゃそうなる」

「きっつ…」

「主の手ちっさくなったなー…」

「御手杵も物珍しそうにするなあ…」

「おう。…へへへ、ちっこいなあ」

「…正国、俺の頭重くない?」

「別に。大したことねぇよ」

「なら良かった。…正国に膝枕して貰えるなら小さくなった甲斐もあったかもな」

「はあ?…ンなの、元の大きさでもやってただろ」

「まあそうなんだけど。…あー胃がパンパン」

「…主の腹枕にしたらどうだろう!」

「御手杵それマジで言ってる?」

「マジ!何か今の主ふくふくしてるし、な!」

「そりゃ普段より筋肉ないけど…胃がはち切れそうな人間の腹を積極的に潰しにかかるのか」

「おう!」

「こいつ無邪気に怖いこと言うよな」

「無邪気の皮被った槍だからな」

「なんだそりゃ。…って、ちょちょちょ無理だって!」

「何事も挑戦だ!」

「いやほんとそれだけは勘弁して!」

「んー…ここら辺…」

「やめろって!」

「御手杵しつけぇぞ。…ったく」

「お…おおおお…!」

「…あンだよ、お前も」

「正国に…守られた…!」

「……御手杵やっぱり潰して良いぞ」

「お!」

「ごめん!ごめんってば!」

「…なあ、主居る?」

「ん?」

「太鼓鐘。どした?主ならここに居るぞ」

「……ちょっと主借りたいんだけど」

「俺を?…いいけど、何かあった?」

「うん、ちょっと用事がある。こっち来て」

「おお…」

「……ボーイミーツ…ボーイ?」

「あんだって?」





「…太鼓鐘?どうしたんだ」

「……」

「…?」

「…主」

「う、うん」

「ちょっと、抱き締めてもいい?」

「へ?あ、ああ、うん、どうぞ」

「ありがと」

「……ほんとに、どうしたんだ…?」

「……んー」

「……」

「あーもー!やっぱり!やっぱりだ!」

「うおっびっくりした!」

「主の大きさ見て、今なら対等だって、同じ目線でものを言えるって思った!」

「……?」

「けどやっぱりなんか違うんだよ…俺が抱き締めたかったのは、俺が好きなのはいつもの主なんだ…」

「……」

「…いつもの主に、早く戻ってくれよ」

「…うん」

「………それはそれとして、今の主普段より柔らかいな」

「ああ、まあ、筋肉量がね…」

「……」

「腹弄るなって」

「…はあ…やっぱいつもの硬い腹筋の方が良いな…」

「そうしみじみ言われると…何か不思議な気持ちになるな…」

「みっちゃんは滅茶苦茶喜んでるけどさあ…あと鶴さんとかも」

「逆に何であんなに喜んでるの、あの人達は」

「んー…思いっきり主を可愛がれるから、とか?」

「姿形が子供なだけで?」

「そりゃ普段の主をあんな可愛がり方したら背負い投げされるじゃん」

「ああ…」

「…子供の主も物珍しいけどさあ…」

「あはは…」

「…どうしようもないわがまま言って、ごめん。格好悪いし、恥ずかしいけど、何かモヤモヤしたから」

「別に格好悪くないよ。むしろ面と向かってそれだけ言えるのはすごいと思う」

「…うん」

「……太鼓鐘、暑くない?」

「めっちゃ暑い…主子供の頃からこの体温なのか?」

「そりゃ生まれた頃からだし。…ん、じゃあ」

「でもまだ離しませーん」

「ええ…」

「……このまま一緒に寝てくれるまで、離しません」

「お、じゃあ今晩の寝床は伊達部屋かな」

「うん。みっちゃんが主の枕用意してた」

「あ、マジすか」

「…主俺の隣ね」

「いいよ」

「……へへ」

「ん?」

「寝る時だけは、今の大きさ良いかもな」

「一緒の布団に入れるから?」

「そう!」

「別に普段のサイズ感でもいけると思うけどなあ」

「主結構寝相悪いしさあ」

「ええ…そう…?」

「悪いぞ。一回鶴さんが戦ってた」

「なんだと…」

「…寝て起きたら、主の大きさ戻ってねぇかなあ…」

「どうだろうな」

「……いつもの主が恋しいよ」

「一日も経ってないのに」

「そうだけど。…っつーかあっつ!あっついなほんと!」

「は、はは…そこまで言われるとちょっと…」

「やっぱ主布団別々が良いかも…」

「うん…そうだね…」



結局体温の低い鶴丸の布団で寝て寝相で殴り合いました。
焼き鳥製造機は伊達じゃない。





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