∈でーえむえむそうこ∋

0409 剪mらぬ誰そ彼1






「鯰尾部隊帰還!そんで、主が!なんか!小さくなったぞ!」

「小さくなったぞ」

「うわあ!ちっさ!うわあ!」

「過剰反応過ぎねえか光忠」

「うわあ…ああ…ぼ、僕の半分くらいしかない…」

「それは言いすぎだろ、お前の胸くらいはある。…あ、ないわ」

「んふう…!」

「…光忠ってもしかして幼児趣味…」

「ないよ!ないけど!ないけど何か普段生意気な君が小さいと!なんか!」

「なまいき」

「うん…まあそこは俺も否定できないって言うか」

「…鯰尾を見上げるって中々小さいな、俺」

「うーん…多分俺の弟たち…薬研や厚くらいかな?」

「かな。…かな?」

「そうだな。俺っちとほぼ目線が一緒だしな。…ほー…幼少期の大将か…」

「……」

「…昔から目付きは悪かったんだな!」

「言うに事欠いて…否定はしませんけど」

「それにしても他の奴等はどうした?鯰尾だけか?」

「負傷した奴等は手入れ部屋に向かわせた。他もぎゃーぎゃーうるさかったから部屋に帰したよ」

「はは…なるほどな。…とりあえずまあ…服変えるか」

「うん」

「袖折ったんだけどなー…やっぱり引き摺っちゃったな。ごめんね、主」

「鯰尾はここまで俺抱えてくれてたんだし、何も謝ることはないよ。むしろありがとう」

「うん…」

「都合良く服までは縮まないってな」

「だっ誰の服着る!?貞ちゃんの服とかどうかな!?」

「そこの興奮大男止めて」

「光忠、落ち着いて深呼吸しろ」

「貞ちゃんの服似合うと思うんだよ!絶対!」

「着流し借りるよ。短刀組の余りあったよね?」

「ああ、そうだな」

「じゃあ俺それ取ってくるよ!」

「ありがとう鯰尾。…あとは、その」

「下着だな。…予備の未使用品があったはずだ。俺のでサイズ合うか?」

「ごめん…凄い助かる…」

「良いってことよ。それじゃ、行くか」

「うん」

「はわ…はわわ…」

「光忠ほんとどうしちゃったの」

「初めて小動物を飼った人間みたいだよな」

「あー」





「うん。すっきりした。動きやすくなった」

「そうか、そりゃ良かった。さ、じゃあ俺の膝においで」

「何で鶴丸いんの?着替えてる時から思ってたけど」

「そりゃ噂を聞きつけてな。普段俺より大きい主を可愛がれるってんなら何を犠牲にしてでも向かうぜ」

「…何を犠牲にした」

「今日の夕飯のハンバーグを一つ犠牲にして内番を変わってもらった」

「誰に…」

「大包平だ!」

「………」

「大将本気で頭抱えてんじゃねぇか」

「大包平くん…ハンバーグ好きだもんね…」

「少しは落ち着いたようだな、光忠」

「うん…取り乱してゴメンねみんな…」

「取り乱していた自覚があって良かったよ。…さてと。それで、この現象の原因究明と解決方法なんだけど」

「主、あるじ!」

「なに。鶴丸の膝には座らないよ」

「なんでだよ!おいで!ほら!なにもしないから!」

「いやだ。…とりあえずこんのすけに現状を伝えて上には報告した。あとで軍の方にも一報入れるとして…暫くは様子見かな」

「まあ、どうすることもできねぇしな。…とりあえず何か異変があればすぐ教えてくれ」

「うん。…俺の状況は夕飯時にみんなに伝えよう。多分もうほとんど知ってそうだけど」

「だろうねえ。噂は一瞬にして駆け巡るから」

「……」

「…で、そこの白い人は何で両腕伸ばして俺を見てるの」

「だっこ!だっこ!」

「させないって。しつこいなあ」

「もし、陸奧守吉行じゃ」

「どうぞ」

「入るぜよ。…手入れ組全員完治じゃ」

「了解、ありがとう」

「………」

「なに」

「…こまくても、千じゃのう…」

「は?」

「いや。…何ぞ原因は分かったがか?」

「まだ何も。とりあえずは静観する」

「そうかえ」

「聞いてくれ吉行!主がだっこさせてくれない!」

「はあ?」

「…とりあえず俺は自室に戻るよ」

「ああ」

「何か困ったことがあったら呼んでね、主」

「ありがとう光忠。…視界が低いのまだ慣れないな…」

「千」

「うん?」

「抱えちゃる。おまんも出陣して疲れちゅうやろう?」

「……」

「部屋まで送るぜよ」

「………うん」

「なんで!?何で俺は駄目で吉行は良いんだ!?」

「鶴さんは下心見え見えだったから…」

「くそ!もっと爽やかに言えば良かったのか…!」

「そう言う問題じゃないと思うぜ」





「……」

「失礼します、秋田藤四郎です!」

「おお、秋田か。入っちょいで」

「吉行さん?…わ、主君、眠っていたんですね…!」

「おん。ここに連れてくるまででわしに抱き付いたまま寝てしもうての。…体は立派に子供をしちょる」

「……それでも僕よりは大きいんですね…」

「お…おお、そうじゃな」

「僕も主君を抱き締めたり、腕枕したりできると思ったのに」

「…普段千にされとることを、お返しに、って?」

「はい…」

「ほうかえ。…けんど、それはいつでもできると思うけどのう」

「え?」

「多少嫌がるかもしれんけんど、千は秋田のこと好きやきにゃあ」

「…それでも!僕より小さい主君が見たかったです…!」

「あー…はは…まあ、分からんでもないぜよ」

「……ぅ」

「おっと。…へへへ」

「…僕も一緒に寝て良いですか?」

「おう!勿論じゃ!…久しぶりの川の字じゃな!」

「えへへ」





「茶碗がでかい」

「わー……わあああ!」

「光忠、落ち着け。ステイ、ステイ」

「伽羅坊が思わずストッパーをやるほどとは…こいつはたまげたぜ…」

「………」

「ん?大丈夫か、貞坊」

「主…ちっちゃい…」

「まあ、ほとんど貞坊と変わらないな」

「うそだろ…」

「大将、全員集まったぜ」

「うん、ありがとう。…よいしょっと」

「全員注目!大将から報告だ!」

「うわっ全員で見ないでよ、こわいじゃん」

「そりゃ俺が注目かけたから当然だろ」

「そうだけど…あーえっと、ご覧の通り、肉体が退行しました。精神は今まで通りです。原因は調査中で未だ不明。なので暫く出陣の同行をやめます。…みんなに影響が出ることはあまりないと思うけど…とりあえず頭に留めておいてください。…はい、じゃあいただきます!」

「いただきます!」

「鶴丸国永!ハンバーグだ!」

「お、おう、君は本当にハンバーグが好きなんだな…ほら、ありがとな」

「当然だ!しっかりと頂いた!」

「大包平、声がデカいぞ」

「今日もハンバーグが美味い!」

「ああ、良かったな。だから少し静かにしろ」

「美味い!」

「さては鶯あたっくをされたいらしいな。分かった分かった、覚悟をしておけ」

「………っ」

「……ふ……ふふっ…!」

「てんめ陸奧守吉行…お前気付いて笑ってるな…?」

「と、届いとらん…!へへへ…!」

「うるさいな体が縮んでんだから当たり前でしょ!笑う前に取ってよ!バーカ!」

「へっへっへっ…ほい」

「お前なあ…!ありがとうございますー!」

「主、他に何かいるものあるかい?遠慮なく僕に言ってね?」

「光忠は光忠で距離感が怖い」

「俺が抑える。…安心しろ」

「大倶利伽羅…ありがとう…」

「ああ」

「………」

「貞坊、箸が止まってるぞ」

「え?…あ、お、おう」

「……?」



150とちょいくらいまで縮みました。大将組とどっこいくらい。
ハンバーグをたべたい。





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