∈でーえむえむそうこ∋

0905 刮ョ外戦のち帰還






「………」

「しかしひっさぶりじゃのう…屋根のない広大な戦場は!」

「暫く建物の中ばかりでしたもんね」

「…あのような狭い場所は良くない」

「ま、俺や君みたいなデカいのは屋内じゃ思うように動けないしな!」

「皆静かに。…主と太鼓鐘貞宗が索敵している」

「……あっちか。…彩雲、発艦準備」

「…んー……」

「…いつ見ても発艦時の主は勇ましい…!」

「そうか?」

「少し黙っていろ巴形薙刀!」

「巴はあれだろ、主のことは普段から格好良く見えてるんだろ!」

「いや…主はいつも小動物のようで可愛らしいと思うが」

「ぶっは!なんじゃと?!」

「小動物…主君が小動物…」

「あっはっは!こりゃ驚いた!主のことを小動物と例える奴がいるとは!」

「…何か可笑しいか?」

「あの…主君が小動物なら、僕や太鼓鐘くんはどうなるんでしょう…?」

「…秋田は……愛玩動物、か」

「あ、あいがんどうぶつ…!」

「あっはっはっはっはっは!」

「おい鶴丸国永!笑いすぎだ!主の邪魔になるだろう!」

「いやー…薙刀は不思議ぜよ…」

「吉行も小動物のようだと思っている」

「んな!…かー…複雑じゃ…」

「…盛り上がってるところ悪いが見敵だ。数は六。陣は……」

「見えた!横隊陣だ!」

「然り。…鶴翼の陣にて対応。先制攻撃に入る。…第一次攻撃隊、発艦」

「よし…主の攻撃が止み次第刀装による一斉攻撃だ!皆構えろ!」

「よっしゃ!投石兵…頼むぜよ!」

「……斉射終了。…全機着艦確認。遠戦に移行」

「はい!主!」

「……」

「…なるほど。このような流れか」

「……」

「…主は戦場であまり喋らない質か」

「…目の前の敵に集中しろ。油断も慢心もまた敵だ」

「了解した」

「………」

「巴!一掃してくれ!とどめじゃ!」

「ああ、任せろ」

「………ふー」

「…主…?」

「……お前達は俺の顔をよく覗き込むな…そんなに雰囲気違う?」

「おう…なんか、近寄りがたいって言うか…」

「主君は表情を消すと途端に人形のようになるし、徹底して感情を殺しますもんね!」

「ね!て明るく言えるくらい慣れてる秋田すげえよ…」

「何せ僕は主君の初鍛刀の刀ですから!」

「可愛い顔して結構胆太い子だから、秋田は」

「え、そうですか?」

「誰に似たんでしょうね」

「それはもう主君ですよ!」

「俺は繊細だもん」

「もんとかキャラじゃないですよ、主君!」

「ほんとこいつ…」

「…さて、じゃあ首領も刈ったことだし、戻るか!」

「そうだね。…こんのすけ」

「はい!帰還ですね!」

「うん。…時間遡行準備を」

「かしこまりました!」

「……」

「……顔が全然違うな」

「そう?」

「ああ。…その気の抜けた顔の方が俺は好きだ」

「そう」

「……な、なんじゃあいつ…流れるように口説きゆうぞ…」

「いやーすごいな!どうしてやろうか、吉行!」

「ど、どうもこうもせんけんど…」

「なんだ、後ろから斬り掛かったりしないのか?」

「本丸は私闘禁止じゃき…」

「主に申請出せば良いんだぜ?」

「そうながか?!」

「いや、正直俺も知らんが」

「…つ、鶴ー!」

「クエー」

「お前達!遊んでないで早く遡行準備に入れ!秋田と太鼓鐘は俺の手を握ったな!良いな!」

「はい!準備万端です!」

「なー俺手握るんなら主との方が良いんだけど…」

「やかましい!今回の出陣では俺が隊長なんだ!隊長の言うことは聞け!」

「長谷部は頭固いなー」

「黙れ!これだから伊達の刀は!」

「伊達は関係ありませんー」

「…巴」

「うん?…俺も手を繋いでおくのか?」

「お前はまだ本丸との縁が浅い。変な時間に流れても困る」

「……主との縁があれば問題ない気もするがな」

「その俺自体も時間遡行するんだ。…つべこべ言うとその薙刀掴むぞ」

「それでも構わんが、どうせなら俺の手にしてくれ」

「ん」

「……人と手を繋ぐのは、初めてだな」

「そうだっけ」

「あちらでは、いつも俺はお前の後ろに控えていたからな」

「……そうだな」

「あれも悪くはなかったが。…隣り合うのも悪くない」

「…並び戦うわけでもないのに」

「それでもだ。…やはり主は小動物のようだな」

「時々お前が何を言ってるのか分からない」

「そうか?」

「そうだ」

「皆様、時間遡行の準備が整いました!用意でき次第、鳥居をくぐって下さい!」

「ありがとうこんのすけ。…行こう」

「ああ」

「………」

「長谷部顔怖いぞー」

「主君に泣き縋るのは本丸に戻ってからにしましょうね!」

「あ、秋田お前ほんと…極になってからすげえな…」

「鶴おまんほんっまに覚悟しちょけよ!本丸に戻ったら組み手じゃあ!」

「えー俺疲れたからちょっと屋根裏で休むつもりなんだけどなー」

「屋根裏入りなや太刀がー!」

「いやいや、常識を越えてこそってな!」

「……後ろうるさいな…」

「賑やかで良いことだ」



巴さん何かエドモン感ありますね。






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