∈でーえむえむそうこ∋ 0806 剪キ期遠征に候 「審神者食後の散歩行ってきまーす」 「お待ち下さい主!この長谷部がお供を…!」 「だからただの散歩に供なんていらないんだってば。食後は好きに過ごすこと。これ主命」 「で、では!長谷部は主と散歩に行きたいです!」 「なら良し!…おいで」 「主!」 「まったく…このやりとりももう何回…目…」 「よう、虎落笛」 「…は」 「主、水筒に茶を入れてきました!どこかで腰を休めて…どうなされました?」 「は、わ、え…」 「仲睦まじくやってるみたいじゃねえか。上等上等」 「……あ…っあ…ああ…!」 「主、俺の後ろに!…何者だ貴様!」 「け、憲兵だああああ!」 「けん?」 「ブッハッ!」 「おおお俺何もしてない!ていうか何も起きようがないっていうか何で憲兵?!え、なんで?!」 「ブハハハハ!」 「帰れー!かっカエレー!」 「北方棲姫かっての。…おいおい、今日は憲兵として来たんじゃねえ。普通に友人に会いに来たんだぜ?」 「嘘付けー!何度そう言われて油断してお前にあることないことちくられて教官に怒られたと思ってんだー!」 「あれはお前が変なこと企んでたからな?」 「企んでなかったじゃん!冗談だったじゃん!うわ、涙腺緩んできた!帰れよもうー!やだー!」 「あ、主…?」 「どうした、主」 「何騒いでんだよ、うるせえぞ」 「い、和泉守ー!」 「おおっと、珍しいな。長曽祢じゃなくて俺か」 「主、そこはおれに抱き付いて貰えたらちゃんと抱きかかえたんだが」 「新撰組ガード!新撰組ガード!」 「なるほど。局長副長揃い踏みだしな。…で、何をそんなに怖がってんだよ」 「俺を怖がってんだろ。初めまして、新撰組の刀方?」 「……何者だ?」 「立場的にはお前達の元主と変わんねえよ」 「だから俺が何したってんだー!」 「だから普通に友人に会いに来たっつってんだろ!いい加減にしろ鬱陶しいぞ虎落笛!」 「俺とお前が友達だった瞬間とかあったっけ?!」 「中々にひでぇこと言いやがるなお前!」 「カエレー!烈風置いてカエレー!」 「遊び始めやがった。…今日は大事な話があって来たんだよ」 「……結婚でもするんですか…」 「お前に結婚報告する義理はねぇな」 「別に結婚報告されてもふーんって感じだしな」 「……」 「……」 「…とりあえず俺の腰にまとわりつくのはやめてくれねぇか主…くすっぐてえ」 「和泉守思ったよりも細いな。ちゃんと食べてる?」 「食ってる食ってる」 「……にしても俺より大分細いような…」 「あんたも大概だろ。…あとあんまりくっつかねえでくれ…隣からの視線が怖い」 「え?……あー」 「…………」 「…おい、話戻して良いか?俺がここに来た理由吐いても良いか?」 「まだ居たのかお前」 「虎落笛…とりあえずサシでやり合おうじゃねぇか…」 「やだ」 「いーや、やる!表へ出ろ!」 「へーへー」 「いい加減お前とは決着付けねえとと思ってたんだ!」 「…よし、出たな。施錠!」 「あ゛!」 「長谷部、お散歩は中止。今日は本丸でゆっくりしましょう」 「は、はい」 「てめぇえええ!虎落笛ええええ!」 「ご近所迷惑ですう、大声出さないで下さーい」 「お前昔から何一つ変わってねえなああああ!」 「そうね」 「……っ緊急招集だッ!」 「は?」 「…お前も聞いたことあるだろ。セイレーンの噂は」 「……セイレーンって…電脳海の話でしょ。俺等の分野じゃない」 「それが表層化してきた。…現実の海に被せようとしてきてるんだとよ」 「……で?緊急招集って」 「お前も俺も、呼ばれたんだよ」 「何に」 「アズールレーンにだよ」 「………」 「これはお上からの通告じゃない。今回は完全に私事で来たって言っただろ」 「……船崩れを集めたいってわけ?なんのために」 「さあ?けど、いい話じゃねえか?夢がある」 「あるかなあ?お前大丈夫?母親に似て脳筋なんだからもうちょっと考えろよ」 「てんめ母親は関係ねえだろうがッ!」 「あっ。ほらー、また蹴って扉壊す…修理費請求するからな」 「……あ、主…」 「……長谷部、ごめん散歩中止。ちょっと会議する」 「は、はい、それは構わないのですが…」 「…扉完全にひしゃげてんじゃん…そっち側に蹴り倒すからちょっと退いてろたけぞう」 「たけぞうって呼ぶんじゃねぇえええ!」 「うるっさいな…よいしょっと」 「どわっ!てめえ!」 「だから退いてろっつったじゃん。…さっきの話詳しく聞く。上がって」 「……へっ…おうよ」 「あ、扉そのままにしといて。こいつに直させるから。…それから暫く俺の部屋に寄りつかないようにみんなに伝えて」 「承知しました」 「主…」 「ん?」 「…どこかへ、行かないよな…?」 「……」 「おれ達を置いて、いかないよな…?」 「…さあ、わかんない」 「…っ」 「行くぞたけぞう、こっちだ」 「虎落笛えええええ!」 「うるせぇ喉抉るぞ」 「…どうした、長曽祢…?」 「いや…なんだか、胸騒ぎがしてな…」 「……主……」 の、三日後長期遠征してきますの一筆を残して一年近く姿を消す審神者であった。 アズレンは電脳世界での話として設定してます。それが現実世界に滲んできていると言った感じ。 ×
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