にっき

1220 *Mマス/秀




※デフォルト名(松田弓弦)


「っただいま!」

「あ、おかえりープロデュ…え、ちょ、なになになに怖い怖い怖い喧嘩かな!?」

「みのりさん!」

「は、はいぃ!」

「アイシテの呪縛!」

「……ぁ…見た!聞いた!」

「さいっっっこうだよなあ!?」

「最高だった!やばいよね!?」

「やばい!歌詞も曲もダンスも構成メンバーもやばい!」

「わ、わかる…!わかりみが深すぎる…!」

「みのりさん誰センター派!?ちなみに俺はお姫ちん!」

「えっ…え、何それすっごい迷う…迷うけど…この間の屋外ライブの静香ちゃんかなあ…!」

「あ゛ー!」

「あれはとても良いものだったよ…健康に良い…!」

「……あ、お疲れさまです秀くん」

「え、いやあの、山村さん」

「みのりさんとプロデューサーさんのあれは慢性的な発作なので気にしなくて良いですよ」

「ま、慢性的な発作!?」

「好きなアイドルの話になるといつもああなので」

「へ、へえ…プロデューサーってもっとドライな人かと思ってた…アイドルソング聞くんだ…」

「確かジャンル問わず聞いてたと思いますよ?良かったら音楽の話振ってみてあげてください。四季くん達と音ゲーしに行くのも好きですし」

「…ふうん…そっか。…そうなんだ」





「こう!ここ!これ!」

「分かる!ツライヤイヤイヤだよ、好きよ!ね!」

「そう!」

「分かんない」

「………秀、お前なんでいるんだ?」

「うおわ、気付かなかった!」

「いや、なんか盛り上がってたから。…さっきから言ってる曲ってこれ?」

「……そうそう」

「…ちょっと聞いてみる」

「わー……」

「みのりさん何照れてるんだ?」

「いやあの、もうちょっとこう…穏やかお兄さんポジションでいたかったって言うか…」

「いや茨城の鬼神ばれてっし」

「うそでしょ!?」

「マジ。事務所怒らせたらあかんランキング上位よ」

「え、ええ…なにその奇天烈ランキング…」

「ふうん…結構、良いじゃん」

「お」

「そう思う!?そう思うよね秀!」

「おわ…いやあの、圧が怖いです渡辺さん」

「おっと。…ごほん、ごめんね?」

「…あと面白いのだと十四平米にスーベニアとか」

「何そのタイトル」

「あー良いよねあれも…!イエーからのイエーで落ちるのがもう最高になーちゃん」

「レッド・ソールも背中にびびっときた。震えた」

「俺スタンディングオベーションしたよ…あの曲は…」

「ユニットの人選も完璧だったよな。346は本当に弾が多い…」

「ちょっと待ってまだアイシテの呪縛も聞き終わってないんだから!」

「はいはい、また言うから」

「ふふふ!秀もアイドルソング好きになってくれたら俺嬉しいなあ」

「元々色々聞きますよ、俺。やっぱり曲作るには色々聞いて知るのが大事だし」

「そっか!……で、プロデューサーはそれなんの動き?」

「シークレットジュエルの一番好きなダンス。イントロからの前進しての、ウー!のとこ」

「もう同意しかないんだけどプロデューサーもしかしなくても俺の半身じゃない?」

「もう一人の…ボク…!?」

「乾いた叫びでちゃう」

「?」

「ほら若い子通じないから、おっさん」

「それそのまんまカウンター食らうだけだからね」

「うん…」

「……プロデューサー!次!なんて言ったっけ!」

「ん?十四平米にスーベニア」

「よし、さんきゅ」

「……熱心だな」

「これは秀も一緒にダンス踊ってくれるかな!?」

「それは…どうだろうな…?」





「ここ最近アマミネくんとぴぃちゃんの仲が良くてぶっちゃけ花園ジェラってます」

「そうか」

「……分かってる、分かってるよマユミくんに言ってもしょうがないんだと…」

「秀に聞いてみると良い。なにかあったのかと」

「んー…そう、だよね」

「それにしても遅いな、秀。いつもいの一番に来ているのに」

「…生徒会の仕事とかかな?この時期学祭とか色々あるだろうし」

「ああ…確かにな」

「……いやめっちゃくちゃあざとくできてた!」

「いいやお前のあれはわざとらしいっつーんだ!もっとこう…なんだ!?可愛らしく見せたいんじゃなくて自然とかわいいーって思わせる顔しろ!」

「はあ!?意味分かんないんだけど!」

「分かるだろ!…ああもう一旦この話終わり!おはよう!じゃねえわお疲れさん!ごめんな遅れた!」

「……おはよーう」

「お疲れさま、プロデューサー。助言をしておくと百々人の隣に座ることを勧める」

「へ?…あ、ああ、まあそのつもりだからいいけど」

「………」

「百々人笑顔張り付いてんぞどうしたどうした」

「ううん、なんでもないよ」

「ええ…」

「あざとい…自然な可愛さ……上目遣いとか!?」

「だからその自信満々に可愛いだろ?って顔をやめろ。あとその話はまたあとでだ。…じゃあちょっと資料準備すっから」

「……」

「うーん…」

「どうした秀、何か悩み事か?」

「鋭心先輩、俺って可愛くないですか?」

「は?」

「え」

「俺結構生意気後輩属性だから甘えると一気にギャップ萌で可愛くなると思うんですけどどうですか!」

「待て、今のお前の発言の要所要所の単語が理解できなかった。もう一度頼む」

「アマミネくん…何目指してるの…?…もしかしてぴぃちゃんに可愛いって言わせたいとか…?」

「そうです!」

「……」

「やめろ…俺を間に挟んで戦の火種を燻らせないでくれ…」

「誤解を招くようなことを言うな…ったく、しょうがねえなあ。…少しくらいなら脱線しても大丈夫か」

「俺結構キュート属性だと思うんだけど!」

「頭パッションは一旦黙れ。…とりあえず二人は黙ってこれを見てくれ」

「……きゅんきゅん、まっくす?」

「346プロダクションのアイドルか」

「ああ。…まあその、見て分かる通り可愛い曲なんだ。…で、それを自分にも踊れると調子こいたのがそいつ」

「踊れてただろ!」

「バッキバキにな!お前のはきゅんきゅんまっくすじゃなくてふんふんマッスルだ」

「っふふ…!」

「ふんふんマッスル…男気に溢れていた…と言うことか!?」

「……鋭心たまにちぃかわ構文みたいになるな…?」

「?」

「鋭心先輩はキュートの素養がある…ってコト!?」

「おう乗るなネット民。…なんなら見て貰えよ。ふんふんマッスル」

「はあ!?……いいよ!俺が可愛いこと証明してやろうじゃんか!」

「どんな心意気なんだ」

「…ぴぃちゃんも踊れるの?…その…ふんふん…っふふ…違った、きゅんきゅんまっくす」

「…………まあ…」

「え、見たい!」

「ええ…」

「嫌そうだな、プロデューサー」

「俺のが絶対可愛いから隣で踊りたくないんでしょ。分かるよ、負けると分かってる試合はしたくないよね」

「はあ…?」

「青筋が浮いているぞプロデューサー。大凡プロデューサーがしていい顔じゃないと思うぞ」

「…てめえ舐めんなよ…あずささんのコイ・ココロを踊れる俺だぞ…?」

「いや分かんないけど」

「やってやろうじゃねえか!オーディエンス集めて判定して貰うぞ!来い天峰ェ!」

「そうこなくっちゃ!」

「…えっと、ちょっと待ってぴぃちゃん」

「止めるな百々人!これは男と男の」

「気持ちは分かるけどとりあえず仕事の話をし終わってからにしない?」

「……それもそうだな」





「オーディエンス多すぎて草」

「禿同」

「うっわなっつ!もうそれ死語ネット用語だよプロデューサー」

「……マジ…?」

「マジマジ。今日日使ってる奴居ないでしょ」

「……」

「ショック受けてる。…ところで硲先生が持ってるあのうちわなに…」

「硲さんそれまだ持ってたんですか…」

「ああ、いつかまた使うと信じてしまっておいた」

「物持ちがいいな…」

「……!」

「ファ、ファンサはしません!」

「そうか……ならこうだな」

「……わー硲さーん」

「!」

「手振ってって…しかも振って貰って喜んで振り返してる硲先生が一番可愛いよ…」

「いいか、これが本当のギャップ萌えだ」

「なるほど…」

「よし!音源オッケー!投票用紙もオッケー!いつでもいいよ!」

「ノリノリだなあ渡辺…」

「もちろん!なんなら端っこで俺も踊って良いかな!?」

「そりゃ喜んで。しかし…いざこう場が整うと…なんか…」

「おっと逃げるのプロデューサー?俺はいいけど?」

「……ッスー……」

「めちゃくちゃ煽るねえ…ふふふ!まあプロデューサーには奥の手があるしね!」

「奥の手?」

「奥の手?そんなもんあったか?」

「最終奥義、コイ・ココロ」

「あれはな、踊り手も死ぬタイプの奥義だから」

「あちゃー」

「…もう何でもいいからやろうよ!ほら!覚悟決めろプロデューサー!」

「うえー…そうだなあ…まあ囃し立てたの俺だし……あ!硲さん新作できてる!」

「……」

「…硲さんのあの微妙に楽しそうな無表情で頑張ってうちわ振ってるのほんっと宇宙一可愛い」

「……うん、あれはほんと…かわいい…」

「もう硲さん優勝でよくね?」

「それはダメ」

「ダメかあ」

「ほら!じゃあプロデューサー!」

「んー」





「……多分なあ、キレが良すぎるんだよなあ…もっとこう滑らかさというか柔らかさというか…」

「……プロデューサーも可愛いじゃん」

「そりゃどうも。……で、なんで硲さん撃沈してんだ」

「あ、あんまりじっと、見ないで、と言うので…!」

「や、あの、それは歌詞で…いや確かにずっと硲さん見てましたけど…俺も…」

「ぴぃちゃん!」

「お、おお、どうした百々人」

「僕、シトラスの柔軟剤だよ!」

「…うん?……ん…そ、そう……ああ!」

「百々人先輩めっちゃふんすふんすしてる」

「ず、ズルい〜」

「っ!えへへ…!」

「うわすごい嬉しそう」

「何なのこの子ほんともう…こんなことで喜んで」

「チョロインだね」

「百々人ヒロインだったのか…」

「ねえねえねえ!今度はさ!今度は三人でPaletteどうかな!?」

「こっちはこっちで次回作希望だぞ」

「パレット?どんな曲ですか?」

「いやお前もやる気……まあいいけど」

「あー…プロデューサーちゃん、一応アンケート集計したけど…聞く?」

「や、いいよ。…うちの事務所はみんな可愛いしな!」

「え、おじさんも?」

「次郎さんも。…ソッと目をそらしたそこの雨彦さんもだぞ」

「おっと……いや…まあ、その、礼は言っておこうか。ありがとう」

「……か、可愛いと言われ慣れてない人の可愛い反応だ…!」

「やだ可愛い…」

「勘弁してくれ…」



しばらく事務所で可愛いと褒め合うのが流行りました。





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