異能学園デゼスポワール


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Prologue『異能力者』



「きゃあああ!!!」

 夕日も落ちて、星が瞬く頃の時間。街灯などの明かりが照らすのは、一人の女性と…大きな化け物だった。化け物は、獲物を見る目でグルルルル、と喉を鳴らす。恐怖を駆り立てるその姿を見て、女性は力が抜けてしまい、その場で座り込んでしまう。

「いや…いや!」

 徐々に短くなる、女性と化け物の距離。女性を一飲みしてやろうと、その大きな口を開けた瞬間だった。
 ザクッ! と何かを斬りつける音がした後、化け物は苦しそうに呻き声をあげた。
 女性は、目を見開いて化け物の後ろに立っていた人を見る。

 まだ若い少年だった。

 少年は剣を化け物に向ける。化け物は、今の斬撃でターゲットを少年に向けたようだ。
女性に背を向けて少年に向かって、爪で攻撃をしてきた! 少年は、それを剣で押さえ込み逆に押し返す。化け物のバランスが崩れた瞬間を見抜き、少年は化け物を斬り裂いた。

 化け物は、光の粒子となり空へと浮かんでいった。

「あ、あの」
「はい?」

 女性は、剣をしまった少年に恐る恐る声をかける。
 明かりに照らされてようやく少年の顔が見えた。金の髪。黒いピンで前髪が留められていた。少年が着ているのは制服。この辺りの学校だと櫻木学園のものだろう。遅めの部活帰りと言ったところか。

「助けていただいて、ありがとうございます」

 ぺこりとお辞儀をしてから、近くに放り出されていたカバンを取って少年に返す。
 少年は、微笑んでカバンを受け取る。

「いえ、襲われてる人は放っておけないので。
最近、夜道では化け物に襲われている人も多いそうですし、気をつけてくださいね」
「はい!本当にありがとうございます!」
「えぇ。それでは!」

 少年は、受け取ったカバンを持って走り出していった。
 女性は、異能力者であろう少年に心から感謝して家に向かって歩き出して行った。


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