『白い天井』
暖かい光が全身を包み込んだ。その光は、先ほどまでの疲れを全て吹き飛ばすような優しいものだった。
ヒロがうっすらと目を開くと、視界には銀色の何かがあった。大分意識がハッキリする。どうやらヒロを包む光はイリスの魔法から来るもののようだ。それにしてもこの大きな光、先ほど千秋にあてた光とは比にならないものだ。
ヒロは、ハッとして起き上がる。それでビックリしたのか、イリスが光を止めた。
「結城!」
仮令がヒロを呼んだことで、皆がバッとこちらを見た。そして、最初に飛びついたのはシェアスだ。
「良かったぁぁああああああああ」
「うわっ!」
受け身を取れず、再びベッドに倒れ込む。そこで千秋が呆れ気味に、ため息を吐く。何が何だか分からないであろうヒロに、春樹がヒロの状況を伝えた。
「怪我というよりは、疲れからきた気絶だって」
「え、それならイリスがわざわざ回復魔法使う必要は……」
「違う」
悪い、という反省の気持ちをイリスに見せようおしたら、イリスに首を振られた。
「シェアスとティアも手伝ってくれた」
「え?」
だから光があんなに強かったのか。すぐ納得した。目の前のシェアスと、隣のイリスと、皆から離れてそっぽを向いてるティーア。
「それとね、さっき使ってたのは回復魔法じゃないよ。疲れを取る効能がある魔法なんだ」
シェアスの説明に、魔法何でもありだな、と感じた。ヒロがもう一度3人を見回してお礼を言う。
「ありがとな、シェアス、イリス、ティア」
「気安くティアって呼ばないでください」
やはり拒否されてしまった。苦笑をしつつ、全員を見る。
「皆は大丈夫か?」
「大丈夫だ、レインに回復してもらったしな」
春樹がウインクをして答える。本当に回復役が居るとありがたい。ところで此処はどこなのだろうか。
「医務室ですよ。……よくあのような強力な《ヒトならざる者》相手に仲間を守りましたね。生徒会からしても、化け物退治及び生徒の命を守ってくれたこと、大変ありがたく思います」
心を読んだかのように現れたのは六堂だった。感謝の言葉をつらつらと述べられて、何だか照れくさくなる。そんな六堂を睨む丁。何かあるのか、と思う暇もなく翼が六堂に頼む。
「あの、ヒロ君疲れちゃってるみたいなのでもう少し医務室お借りしても大丈夫ですか?」
「全然、構いませんよ。お大事に」
「ありがとうございます」
ヒロが顔を下げてお礼を言うと、六堂はにこりと微笑みそのまま去った。