もしもシリーズ | ナノ



関西地方最強不良グループ

「いったぁーーー!!金兄なにすんねん!」


「鍛え方が甘いんやお前は!!はよこのグループでてけ!」


「なに言うてるんや!俺は金兄より強いやんか!」


「はぁ!?俺のほうが強いに決まてるやろが!!」


「ちょおみんな落ち着いてください。」


「「・・・・・・・・・」」


ここは関西最強不良グループのたまり場、虎屋である。

言い争いをしているのは兄弟の志摩金造と志摩廉造。とめに入っているのは三輪子猫丸である。

そして黙っているのはこのグループのツートップ、志摩柔造と勝呂竜士だった。


二人は同時に息を吸った。


「「やめや!!!」」


二人の一喝でピタリ、場の空気とそして彼らの体が固まる。

金造は廉造の髪をつかんだまま、廉造は金造の胸倉をつかんだまま、子猫丸は両手を胸の前まであげたまま。

そのポーズのままツートップを見つめる。


二人はあの蟒のようにふしゅー、と息を吐き出しそれからギロリと二人をにらみつける。

ひぃっ。短い悲鳴は廉造のものだ。

ツートップである二人の一連の動作は示し合わせたかのようにぴったりであった。


「仲間内でそんな風にケンカしよるからあの宝生の女どもから一杯食わされるゆうんがわからんのか!」


そういったのは柔造である。

彼は唯一竜士と互角に渡り合えるということでツートップの座についた。

普段温和な割りに短気な柔造は怒鳴った後金造と廉造の頭をそれぞれいっかいずつはたいた。


「って!!」


「たっ!」


宝生の女ども、というのは関西で二番目に強い不良グループだった。

しかも彼女らは竜士たち明陀宗の同じ門徒で犬猿の仲である。

彼女らはケンカの腕も強いのだが何より知略をめぐらせることに長けており何かとこまごまとした武器を使ってくる(爆竹とか、威嚇で)。

竜士たちのほうは力で直進していってしまうタイプが多いのでいつも彼女らの知略の前では負けてしまうのだ。

ただ彼女らより場数を重ねてきたのは彼らで。

そのため関西最強と謳われている。


「そういう柔兄こそどうなんや!あの蝮のこと好きやないか!一杯食わされるんは柔兄のせいでもあるんやないか!?」


柔造のいうことが正しいのだが言い返さずにはいられない金造は言い返した。

これは全員が知っていることであり、ちょくちょく柔造をからかう材料として用いている。

柔造は顔を真っ赤にして立ち上がり金造の胸倉をつかみあげた。


「あ、阿呆!!!なんゆーてんのや!」


このままだとまたケンカが勃発してしまいそうである。


「だからケンカはあきませんて。」


子猫丸の気弱な声はかき消される。

と。


「やめやいうとるやろが!!!!」


竜士が声を荒げた。

柔造がケンカを落ち着かせることができなかった場合、最終的に出るのは竜士だった。

竜士は立ち上がり今度は志摩兄弟三人を拳骨で殴った。


「みんな座りぃ。」


そういい、一番に竜士は胡坐を掻きどすん、と座る。


「「「「・・・・・・」」」」


四人は静かに腰を下ろした。


「まず、皆おちつけや。俺らの目標はなんや?・・・・宝生の女どもやない、関東のあの不良グループやろ。」


その場にいた全員が、そうだとうなずく。

虎屋のたまり場には真剣な雰囲気が漂い始めた。


「あいつらに勝てれば俺らは日本一や。今は宝生の女どもよりあいつらに専念するで。」


「あっちのグループはリーダー以外女の子やしねぇ。」


「ド阿呆。女やからゆうて舐めんな。」


真剣な雰囲気が苦手な廉造は軽口をよく叩く。

それに制裁を加えるのは金造だ。・・・・そこからいつもケンカに発展してしまうが。

今回もその例外ではなかったが、ケンカに発展しかける前に竜士が二人に睨みを利かせて場は納まった。


なんとか場を持ち直したあと、最初に意見を出したのは子猫丸だった。


「距離が問題ですね。」


子猫丸は気弱な面もあるがそんな自分を変えたくてこのグループに入った。

もちろん、彼はこのグループの中で鍛えられ強くなった。

はじめは廉造に一発KOだったが今では互角に渡りあえるほどになっている。


「せやな。それに果たし状もどこに送るか検討もつかへん。」


次に口を開いたのは柔造だ。短気な柔造は相手にケンカをふっかけられるとすぐ乗り、たった一人で10人を一気に倒したことがある。


「あ、それは俺が関東の不良グループの子のメルアドしっとるから大丈夫や。」


へらりと表情筋を緩めまくっている廉造は女好きでいろんな女に声をかける。

そのおかげかは定かではないが情報通である。

柔造が蝮に好意を寄せているということをいち早く知ったのも廉造だった。


「お前の情報網のすごさには驚きすぎてもう呆れしかないわ・・・・」


はぁ、と息をついた竜士は生まれつきの目つきの悪さから不良に絡まれるということが多くケンカなれしてしまい今では関西最強の不良グループのツートップとなってしまった。

はじめは一匹狼だったが、いつの間にか周りには四人がついてきていたというわけである。


「で、いつ出すつもりなんやその果たし状。」


ずい、と身を乗り出し竜士を見た金造は仲間内で一番喧嘩っ早い。

猪突猛進で一人で敵の最中に殴りこんでいき大勢を相手にケンカしぼろぼろになって帰ってくることもしばしばだ。


勢いづき始めた彼らと竜士は一人ひとり、目を合わせる。そして腕組みをし、一つ息を吐いてから断言した。


「・・・・・一ヵ月後や。」








西


彼らの目標もまた、日本一。


(一ヶ月後までに体鍛えるで!!)


(ほんなら早速・・・廉造!表に出ろ!)


(えぇぇ!?なんで俺ぇ!?)






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