もしもシリーズ | ナノ



関東地方最強不良グループ

「ぐあっ。」


鈍い音と血だらけの男のうめき声が薄暗い路地に異様に響いた。

殴られた男は数メートル先へと吹っ飛び後頭部を強く打ち付ける。カランカラン、と金属パイプが転がった。

その光景を見ながらなまえはただその男を心の中で弱い奴だと吐き捨てていた。

殴ったのは彼らのグループの中でもっとも強い燐だった。

口の中の血を吐き捨てそして鼻血を手の甲で拭っていた。


「俺にケンカふっかけるなんて100年早ぇよ。」


倒れた相手に向けて小石を蹴った燐は仲間に「いくぞ」と声をかけて倒れた男に背を向け薄暗い路地を出て行った。





「あいつ、やるなら武器使わずに素手でこいっての。」


「燐が強いから武器使うんじゃん。」


「お前も十分強ぇだろ。なのになんでお前らだけは素手なんだ。」


「そりゃあ、あたしらが女で相手があわよくば胸さわりてー、見たいな下心もってるからでしょうよ。」


コンビニの前でなまえと燐たちは缶コーヒーを飲んでいた。

先ほどまでのケンカであがった熱を徐々にクールダウンさせている。ほかの仲間は怪我の手当てをするために包帯などを買いに行った。

そのクールダウンの間に、二人は先ほどのケンカのことを改めて振り返った。


「にしても、12人か・・・・ひきょーだ・・・」


「俺が5人でお前が4人だったな。」


「燐、あんたはどんだけ強いの。」


ハハハ、と笑ったなまえは缶コーヒーを飲み干した。


彼らは関東の不良の頂点に君臨する不良グループである。そのグループのナンバーワンは燐で、ナンバーツーはなまえである。

彼らのグループは全員で4人。

リーダーの燐、そしてナンバーツーのなまえは先ほど紹介したが、ほかに杜山しえみ、そして神木出雲がいる。

燐以外、すべて女が仲間だ。

リーダーはそのせいか鼻の下がいつも伸びきっている・(いねぇよ!)・・・・とかいないとか・・・・


そこへ、薬の買出しへと行っていた仲間が戻ってきた。


「燐!なまえ!買って来たよ!」


小走りにかわいらしい笑顔でこちらに来たのは杜山しえみだ。

明るくまっすぐだが、おっちょこちょいな面もあったりと普段の性格は不良とはかけ離れたものである。

しかし彼女は自身の性格に反し、なぜかは分かないが不良となっていた。

普段はどじを踏んだり、やわらかい雰囲気を見せる彼女はひとたびケンカとなると柔らかい雰囲気は消え、緊張感をまわりに与えるほどの真剣な表情で相手と挑む。

関東最強の不良グループに属すだけありかなり強い。


「人が買いに行ってる間なに呑気にコーヒーなんて飲んでるのよ。」


このきつい口調の二つ結びをした彼女は神木出雲である。

ツンデレ気質のある彼女はプライドがあり気が強く言葉がきつい。

上から目線な言葉も多いがそんな彼女は実は可愛いもの好きだったりする。燐の飼い猫クロに赤ちゃん言葉を使い話しかけている様子をなまえは見かけていた。

彼女は主に足技が得意だ。もちろん彼女も関東最強の不良グループに属すだけありかなり強い。


「まぁ、いいじゃん、待ってる間つまんないし。」


「だったらケンカでもやっとけば?」


「そうだな。よし、なまえやるぞ!」


「はぁ?何いってんの、ふざけないでよ燐!」


「仲間同士でケンカはだめだよ!」


そんな彼らが関東地方最強の不良グループだった。

彼らの間に上下関係はなかった。

彼らは皆、強さにかかわらず対等な関係だった。


「あぁ?なんだよ。」


「やんならかかってきなさいよ。」


「ちょっと二人ともだめだよ!」


トップの二人は気が短くよくケンカをするが二人は仲がいい。

ケンカしかける二人をいつもなだめるのはしえみの役目だ。

そしてケンカを誘発する出雲はその様子をただ見つめるだけだ。

これが、彼らだった。






(いつかは日本一の不良になりてぇな!!)


(なにいってんのバカヤロウ。)


(あぁ!?)








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