03
町長の家は町全体を見回すことができる高台の上にあった。
風がさぁっ、と抜ける。
「うっはぁ!気もちぃ!」
神「・・・・・」
レイラは伸びをしてから気合を入れた。
「よし、町長さんのところに行こう!」
神「・・・あぁ。」
そうして、ごめんくださいといいながら中に入る。
町長は(アレイスター・クロウリー)、「おや」と声を出して気弱そうに笑った。
ク「旅人であるか。」
マントを羽織った町長は長身で気弱そうな優男にみえる。
彼は立ち上がり何かようかと聞いた。
「魔界へ行く手段を探してるんです。」
神田では相手に悪い印象を与えかねないと踏んだのかレイラが明るく答えた。
すると町長はあぁそうであるかと優しく言って座るようにと椅子を勧める。
レイラはありがとうございますといって椅子に腰掛けた。
ク「・・・・実は、この家の地下に魔界への道がある。」
「本当ですか。」
二人は少し身を乗り出した。
町長は話を続ける。
ク「あぁ。代々この町の町長の座につくものだけが知る昔の話である。
しかし、魔界へ行くための方法は私は知らない。別のものたちが知っているのだ」
神「・・・・それは誰だ。」
ク「兎人たちである。」
「ウサギビト?」
ク「この町から北にある山奥の村にいる者たちである。
その名のとおり兎と人間の血が混じりあった民族のものなのだ。
昔、魔界から魔物が攻めてきたとき私たちの先祖は兎人とともに戦った。
そして何とか魔物を魔界へ追い返し魔界への道を封印したのである。
その後、兎人が封印のとき方を、私たちの先祖は道の番人をする役目を担ってきた。
だからあの兎人たちしか方法は知らないのである。」
ほうほう、と頷くレイラ。
なんの反応も示さない神田が口を開いた。
神「そいつらに教えてもらえるよう取り計らって欲しい。」
町長は見ず知らずの旅人のレイラたちに紹介状を快く渡した。
「ありがとうございました。」
レイラはぺこりと頭を下げる。
ク「お役に立てたなら光栄である。」
きをつけて、と町長は優しく微笑みながらレイラと神田を見送った。
彼らは兎人のいる村へと旅立った。
ク「気をつけて・・・・勇者様。」
町長が彼女の正体を知っていたとはつゆ知らず・・・