▽ 相談4
「神田さん、私、おっちょこちょいが直せるよう、がんばります。だから、一緒に訓練してくれませんか」
「はあ? 訓練ってなんのだ」
「任務で、役に立つための訓練、です」
「要するに、組手か」
「組手……なん……でしょうか」
「お前、なにするつもりなんだよ」
「わ、わからないです…………」
ティエドールに訓練が必要だと言われ、すぐさま実行しようと神田のところに再度かけこんだ娟だったが、訓練といっても何をすればいいのか考えていたなかった。そもそも娟は訓練といっても何も思い浮かばない。
今まで娟は遠くのAKUMAを相手にし、近距離は神田にまかせっきりだった。アルトとの任務でも、近くのAKUMAはアルトに引き留めておいてもらっていた。
そういえば実験後のアルトとの任務で、一体のAKUMAがアルトも気がつかない背後から近づいてきたので娟はあわててしまい、他に氷漬けにして足止めしていたAKUMA全てを解放するという大失態をおかした。アルトとの任務だったためイヤリングをはずしており、幸いにも驚いて叫んだことでアルトに助けてもらったが。あれがよくなかったのだろうと娟は思う。だから熟練の神田が娟につけられるようになったのだ。
「……お前は近距離に弱い。とりあえず、実践で使う使わないは抜きにして、組手すんぞ」
見かねた神田が娟に提案した。
「あ、ありがとうございます」
娟はあわててお礼した。
「組手は俺よりリナとしたほうがいい。あいつのほうがうまくやるだろ。だから俺とお前はイノセンス使った修行だ」
「わかりました。えっと、それって、今から、してもらえるんですか?」
「ああ、そうだな」
「あの、が、がんばります。よろしくおねがいします」
今からしてもらえると聞いて娟は嬉しさで少し頬を紅潮させた。
神田はめんどくさそうな様子だったが、切り捨てずに修行を手伝ってくれるあたり、娟にとっては神田が優しいと感じたのだった。
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