白く、いかにも惜しみない愛情を注がれています、といった流れるような毛並みに長い指先が沈む。
細い顎のしたを親指でくすぐられると金色の目が夢心地に細められてゴロゴロと喉が鳴った。 あぐらをかいた足の間に箱座りをした猫は、風呂あがりの主人がお気に入りらしい。 だから、白石家にお邪魔したとて、この時間帯は毎度猫の気がすむのを気長に待つばかりだった。

飼い主の溺愛も納得できる美人の猫が、男にしとくにはもったいないような美人に可愛がられているのは、見ていてまあ悪くはない。
だけれども!

おれとて、せめて泊まった日くらい、ほかほかでいい匂いのする白石に構ってもらったってバチはあたらないはずだ。

「……白石、おれも」
構ったって。 マリオギャラクシー。

薄い茶色の目を丸くした珍しい表情に少し胸がすく思いがした。 のも束の間。

「なんや、こっちの子も構ってほしいん? よしよし」

ちっ、わざとか。 聞きわけのない猫をたしなめるのとまるで同じに襟足をくすぐる仕草で即座に悟る。 いつだって、敵いはしない。

どうされれば気持ちいいのか十分把握して、おれの頬からくちびるをくすぐる意地悪な親指に噛みついてやる。 そうして健気にもスタンバっていたWiiのリモコンをなげだすと、あぐらをかいた膝に手をついた。 けんや? と言い切らないうちに薄いくちびるを塞ぐと、おれと白石の身体に挟まれた猫から不満の声があがった。 おれは悪くない。



くすぐる親指



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