アパートを出た二人は、路地を走っていた。 背後にはゾンビの群れ。 捕まったら一貫の終わりだろう。 「頭が痛いぜ、何が起こってんだ…あいつらは何なんだ?」 「…ウィルがあんな姿に…どうして…」 必死に走りながらケビンとシンディは呟いた。 悲しんでいる間もなく、二人はゾンビ達から逃げ回っていた。 「仕方ねぇ、あそこに入ろう!」 ゾンビに追われ、二人はとある建物に逃げ込んだ。 HOSPITAL…という文字に気づく暇もなく。 中へ入り扉を閉め、鍵を掛ける。 かなり頑丈そうな扉だ。 これならしばらくは入って来れないだろう。 「あわてて入っちまったが、ここは病院か?」 「そうみたい…誰かいるかしら…?」 「…人ならいいけどな。」 ケビンは愛用の45オートに弾を込め、歩き出す。 椅子やら道具やらが散乱している。 尋常ではない荒れようだ。 「…どうやらここも安全じゃないみたいだな」 ケビンはそう呟き、銃を構えながら進んだ。 「酷い…生きてる人はいないのかしら…」 シンディは不安げにケビンの後に続いた。 オフィスに入り辺りを見回すと、部屋の片隅にハーブが置かれていた。 「これ、グリーンハーブ?」 こんな状況ではハーブも役に立つかどうかわからないが、とにかくシンディはそれを持っていたハーブケースにしまった。 「ん?」 ふとケビンは床に落ちていた紙の切れ端に気づいた。 "0930"と書かれている。 「何のことだかサッパリ分からねぇな」 シンディも見てみるが、数字だけでは分からない。 二人はオフィスを出て、診察室へと向かった。 「……」 診察室の机に突っ伏すような体勢で、看護婦が座っている。 ケビンは銃を構えながら看護婦に近づき、椅子を引いた。 すると看護婦はズルッと椅子から滑り落ち、床に倒れた。 …死んでいるらしい。 「?」 机を見ると"level1"と書かれたカードキーが置いてあった。 「役立つかもな」 ケビンはそれを制服の胸ポケットに入れ、奥へと進んだ。 シンディは恐る恐る看護婦の死体を跨ぎ越し、ケビンの後に続いた。 奥の扉を開くと、そこはロッカールームだった。 ロッカーが倒れているため、非常に狭い。 「どこかに電話でもありゃ助けを呼べるんだがな…」 ケビンは倒れたロッカーを避け、先へと進んだ。 「……」 シンディは辺りを見回しながらケビンの後に続く。 しかし目に映るのは、白衣を着た医師や看護婦らしきものの死体ばかりであった。 no 次へ |