トラックが停車したのは、街に数か所仮設された避難所の一つだった。 ここまでどうにか逃げ延びて来た者、警察に保護されて来た者、希望と絶望を繰り返しながら辿り着いた者…。 様々な思いを胸に、数人の男女が寄り集まっていた。 その中に数々の危機を乗り越えながらここまで辿り着いたシンディ達の姿があった。 「これからどうするか…」 残り少ない弾薬をマガジンにセットしながらケビンが言うと、ずっと手帳と睨めっこをしていたアリッサが顔を上げた。 「この騒ぎがアンブレラの仕業だって事はわかったけど、この街を出られなければ意味がないわ」 「ああ、そうだな…」 「車で脱出するにしても、ハイウェイが封鎖されてちゃどうにもならねえ」 「ど、どうするんだい?これじゃ逃げられないよ…」 「強行突破するしかねぇか…」 「無茶言わないでよ。あんな分厚いゲートをどうやって突破するって言うの?ミサイルでも撃ち込むつもり?」 「落ち着いて、アリッサ。…もう一度冷静になって考えましょう。きっと何か手はあるはずよ」 「……」 全員が押し黙る中、ふとジョージが壁に貼られた一枚のメモに気づいた。 「これは…私へのメッセージ?…街の異変について伝えたい事がある、君なら話が早いはずだ。大学で待っている。すぐに連絡してくれ…ピーター・ジェンキンス………ピーター?」 ジョージは不思議に思いながらもピーターからのメッセージを皆に伝えた。 「待っているって…あのラクーン大学で?」 「ピーターとは同窓生ではあったが特に親しい間柄という訳ではない。だがメッセージの事が気に掛かる…」 「その人に会いに行くつもりかい?」 ジムの問いにジョージは静かに頷いた。 「異変について彼は何か知っているのかもしれない。それを知りたいんだ」 「…そうね。私も気になるわ。あの大学に何かあるとは思えないけど」 「秘密があれば知りたくなるのが記者ってもんだ」 「お、オレも行くよ!ここでじっとしてるよりはマシかもしれないしね!」 アリッサとベンに続きジムも賛同し、リタはケビンに向き直った。 「ケビン、どうするの?」 「そうだな…。ジムの言う通り、ここでじっとしてたって仕方ねえ。俺もつき合うぜ」 「ありがとう」 「……」 彼等の様子を見つめながらシンディは浮かぬ顔で何事か考え込んでいた。 「…どうした?」 隣にいたデビットが声を掛けると、シンディは小さく首を振って答えた。 「…嫌な予感がするの。この先に何か恐ろしいものが待っているような気がして…」 「……」 思わず口に出してからシンディは慌てて顔を上げた。 「ごめんなさい、気にしないで。…弱気になっちゃダメよね」 「…ここに残るつもりか?」 「いいえ、私も行くわ。何かしてる方が気が紛れるし、この街から脱出する方法が見つかるかもしれないもの」 「……」 デビットはそれ以上何も言わなかった。 だがシンディは嵐の前の静けさのような、嫌な空気を感じ取っていた。 言い様のない不安を抱えながら、一向はピーターの待つラクーン大学へと向かうのだった…。 no 次へ |