廊下に出ると、奥にエレベーターがあった。 「何だ、これ?」 近寄ってみると、エレベーターの横に"パスワード"を入力するボタンがあった。 と、その時ガシャンッと大きな音がし、さっきまで"死体だった"医師や看護婦が近寄って来た。 「!?」 急いでエレベーターのボタンを押すが動かない。 「パスか?何だって病院のエレベーターに、んなややこしいもんが付いてんだ!」 ゾンビ達が間近に迫る。 このままではマズい。 「パスなんか、知らねーっての!」 シンディは、ふとあの紙の切れ端に書かれていた数字を思い出した。 「ケビン、0930よ!」 「!?、そうか!あのメモっ…!」 ケビンは急いで"0930"と入力した。 思った通り、ガラッと扉が開いた。 中には何もいない。 二人はエレベーターに乗り込んだ。 …エレベーターは2Fで止まった。 幸いゾンビの姿はなく、二人は難を逃れた。 「フーッ、危なかったぜ」 ケビンは一息ついてポケットから、しわくちゃの煙草を取り出した。 「でも、もう1Fへは戻れないわね…」 「そうだな…。まあどの道、正面入口にはゾンビ共がウジャウジャいるし、別の出口を探すしかねぇさ」 そう言い、ライターを探しポケットを叩いた時、 カタンッと音がした。 「!?」 二人の間に緊張が走る。 「……」 ケビンは火のついてない煙草をくわえたまま、銃を構えた。 ゆっくりと廊下を進み、"205号室"と書かれた部屋で止まる。 人の気配がする… 残念ながら生きた人間なのか、奴等なのかは分からない。 「……」 ケビンはドアノブを握り、シンディに目で合図をした。 シンディは緊張した面持ちで頷いた。 カチャッとノブが回り、ドアが開く。 「……」 用心しながら数歩前へ出る。 しかしそこには誰もいなかった。 ベッドが4つ、奥にロッカーもある。 「…誰もいねーのか?」 しかしケビンは銃を下ろさずに奥へと進んだ。 と、その時… カタンッと音がした。 「!?」 驚いて音がした方を振り返り、銃を構える。 窓が開いている。 風が吹き込み、カタンッと鳴った。 「風かよ…」 脱力し、銃を下ろした瞬間… 突然、天井の通気口が外れた。 「!?」 ボタボタと何かが床に落ちる。 それは全長15pほどのヒルだった。 「!?」 続いて何か大きなものが降って来る。 巨大なヒルの塊のようだ。 …いや、足が見える。 "人間の死体"にヒルが寄生しているのだ。 何十匹、何百匹という数のヒルが寄生し、まるで一つの生物のように動いている。 「……」 二人はあまりの光景に唖然とするばかりであった。 前へ 次へ |