礼拝堂の聖女像に下に隠された地下への入り口、暗く深い穴の底に大聖堂はあった。 日の光が遮られた完全なる闇が支配するその場所は、どこか神秘的で、そして不気味だった。 通路に並べられた蝋燭の火もあたたかさは全く感じられない。 しかし今は、その闇が心地良い。 「ここは……あ……司祭…さま?」 闇の中にぼんやりと浮かぶ聖女像の前に立つダリアを見つけて、ジーナはおぼつかない足取りで近付いた。 この街を初めて訪れたときに、一度だけ足を踏み入れた教会でジーナはダリアに出会い、彼女の言葉を聞いた。 薄れ行く意識の中で、どうしてか彼女の言葉だけは忘れられない。 「待っていたわ…ジーナ」 「…?」 ジーナは不思議そうな顔でダリアを見るが、ダリアはとても嬉しそうに笑みを浮かべる。 「この時をずっと待ちわびていた。そしてようやく見つけたのよ。聖女の器を持つあなたを…!」 「聖女…?わたし…が?」 ぼんやりとダリアの言葉を聞いていたジーナは、いつの間にかサングラスの男に抱きかかえられ、聖女像の前にある祭壇に寝かせられていた。 「スティーブは…どこ?」 ジーナの問いに、サングラスの男はふっと笑みを浮かべて答えた。 「もうすぐここに来る」 no Next [Bookmark][Back] |