ウィラメッテが崩壊してから数ヵ月後、北東部にある田舎町で奇怪な噂が立った。 もともと独自の宗教が根付いた土地であったが、若い女性達が次々と姿を消す行方不明事件が多発し、いつしか"吸血鬼"が出ると噂されるようになった。 その噂を聞きつけたレオンは、事件の背後にアンブレラが関わっている可能性があると考え、クレアと共にその街を訪れた。 「ん?ああ、例の"吸血鬼の噂"かい?あんた達も物好きだな。わざわざそんなことを調べにこんな田舎まで来たのかい」 酒場の店主は呆れたようにレオン達を見るが、食器を拭きながら噂について話してくれた。 「噂が立つようになったのは、ごく最近のことさ。ほら、例のでかいショッピングモールが爆発して街が崩壊する事件があっただろう?」 「ウィラメッテのことね?」 「そうそう。あの事件からしばらく経った頃に、若い女の死体が発見されたんだ」 そう言って店主は少し声を潜めた。 「俺も見た訳じゃないんだがね。何でもその死体、獣にでも喰われたかのように内臓が全てなくなってたらしいよ」 「喰われた…?」 「目撃者の話じゃあほとんど骨と皮だけになってたらしい」 店主は言いながら顔をしかめた。 レオンとクレアは顔を見合わせて頷く。 「そんで猟奇事件だって一時期とんでもない騒ぎになったんだが…その後しばらく経ってまた同じような女の死体が発見されてな。体の血が全部なくなってたんだとよ。しかも首筋には吸血鬼が血を吸ったかのように牙の痕が残ってたとか…」 「それで吸血鬼の仕業だという噂が立った訳か」 「ああ。もう何人もの女が犠牲になってる。…だけどな、ここだけの話。あれは全部教団の仕業じゃねぇかって噂もあるんだ」 「教団?」 クレアは訝しげな顔で尋ねた。 「この街に古くからある宗教集団なんだが、今じゃほとんどカルト集団だ」 「そんな怪しい教団がこの街にあるのか」 「吸血鬼の噂が立つ前から行方不明者が度々出ていて、教団が怪しい儀式の生贄にしたとか色々噂があったようだが…最近のは特に異常だ」 「…その教団は今どこに?」 レオンが尋ねると、店主は眉を顰めて首を振った。 「あんた達、何をするつもりか知らんが、悪い事は言わねぇ。この街にいる限り、奴等には関わるな。でないとあんた達も生贄にされちまうぜ」 no Next [Bookmark][Back] |