隠れ家の寝室にあるベッドで目を覚ましたジーナは、部屋の中を見回してそっと起き上がった。 「スティーブ…?」 暗闇の中の人影に声をかけるが、返事が無い。 「…スティーブ…?」 もう一度声を掛けると、人影が動いてその顔がライトに照らし出された。 「!?」 そこにいたのは、スティーブではなかった。 金髪オールバックでサングラスを掛けた黒服の男。 「だ、誰?スティーブは…?」 慌てて部屋の中を見回すがスティーブの姿は見えない。 すると男が口元を吊り上げて興味深げにこちらを見た。 「自我を残しながら肉体が徐々に変化しているのか…」 「?」 ジーナは首を傾げるが、すぐにベッドから出て立ち上がった。 しかし体が思うように動かず、足がもつれて床に手をついてしまった。 「う…っ」 体が鉛のように重く力が入らない。 それでもどうにか体を引きずって寝室の扉を開けた。 「スティーブ…っ」 しかし家の中には誰の姿もなく、自分とサングランスの男以外、気配も感じなかった。 「どこ?……スティーブ……っ」 暗闇の中を這いずるようにしてジーナは玄関へと向かう。 と、そのときだった。 「あの男なら教会にいる」 背後で男の声が聞こえてジーナはゆっくり後ろを振り返った。 「教会…?そこに…スティーブがいるの…?」 「お前が望むのなら連れて行ってやる…。あの男も教会でお前を待っている」 「スティーブ…が…?」 サングラスの男はただ静かに笑みを浮かべていた。 no Next [Bookmark][Back] |