悲鳴も断末魔も銃声も、何もかもがその瞬間に途絶えた。 空腹が全身を支配して、ただ目の前の"ご馳走"に夢中になった。 あの日以来、見るのも嫌だった"肉"がご馳走に見えるなんて信じられないが…。 久しぶりに口にする肉は、とても柔らかくて温かかった。 カラカラになった喉を潤す"肉汁"も、とても心地良かった。 食べることが、こんなにも嬉しいだなんて、生まれて初めてかもしれない。 ずっと何も口にしていなかったせいか、自分でも驚くほどたくさん食べた。 まるで犬のように骨までしゃぶり尽くして、ふと顔を上げたら… 鏡の中に映った自分は、酷い顔をしていた。 口の周りにべったりと油や食べカスがついていて、手で拭ったけどあんまりキレイにならなかった。 だけど、お腹はすごく満たされていて幸せな気持ちだった。 スティーブがずっと心配していたから、これでやっと安心させてあげられる。 少し食べ過ぎて太っちゃったかもしれないけど…。 でも、いっぱい食べたからやっと元気になれた。 やっぱり食べることは生き物にとって一番必要な事なのかもしれない。 「あ……う………」 スティーブの名前を呼ぼうとしたけど、食べ過ぎて苦しいせいか、上手く言葉が出てこなかった。 no 次へ |