BIOHAZARD〜DEADRISING〜
Insanity

「そっちはどうだった?」


「いや…」


「そう…私の方もいたのはゾンビばかりだったわ」


エントランスホールの2Fで合流したレオンとクレアは、辺りを警戒しながら階段へ近寄り1Fを覗き込んだ。


昼間はゾンビで溢れ返っていたエントランスが、今はとても静かになっている。


しかし、その静寂が安心するどころか嵐の前の静けさのようで、二人は油断することなく辺りに注意を払う。


「それより…ケビンはどうしたんだ?」


クレアと共に行動していたはずのケビンの姿が見えないことに、レオンは訝しげな表情を浮かべた。


「モールの案内図を見て、銃砲店があることを知って武器を確保しに行ったわ」


「…まだ戻って来ていないのか」


「ええ。もうだいぶ経つのに…何かあったのかしら」


「行ってみよう」


クレアは頷いてハンドガンを手にした。


銃砲店は2Fの東側、スティーブ達が立ち寄った婦人服店のさらに奥、通路のつきあたりにあった。


店の中は明るいが、人影は見えない。


「…変ね。銃砲店はここしかないのに…いないみたい」


「とにかく中へ入ってみよう。もしかしたら奥の倉庫にいるのかもしれない」


「そうね」


二人が銃砲店のドアを開け中へ入った瞬間、


「伏せろ!!!」


物陰に隠れていたケビンが、二人を突き飛ばすように壁際にある棚の影に押し倒した。


それと同時に何発かの銃声が響き渡り、その内の1発がケビンの脇腹を貫通した。


「グアッ…!」


「ケビン!」

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