「…スティーブ…?」 「気がついたか?」 目を開けると、椅子に腰掛けて心配そうにこちらを見るスティーブの姿があった。 「まだ寝てろよ。熱は少し下がったみたいだけど、またいつ上がるかわからないんだからな」 「…そっか…私…ずっと眠っちゃってたのね…」 ジーナはしばらくぼうっと天井を見つめていたが、ふと椅子に掛けられたスティーブの上着が血塗れになっていることに気づき、慌てて体を起こした。 「スティーブ!あなた怪我してるの!?」 「おい、寝てろって」 スティーブに押さえつけられて、ジーナは半ば強制的にベッドの上に体を横たえる。 「スティーブ、大丈夫なの?」 「たいしたことないよ。…いいから、ジーナは余計なこと考えずにもう少し寝てろよ」 「……」 ジーナは心配そうにスティーブを見つめる。 さっきは気づかなかったが、スティーブの肩と腕には包帯が巻かれていた。 「その怪我…どうしたの?ゾンビに…?」 「違う」 「じゃあ…いったい何があったの?」 「……」 スティーブは俯いたまま何も答えない。 「スティーブ…」 ジーナが声をかけると、スティーブはしばらく黙り込んだ後、少し寂しそうな笑みを浮かべてジーナの額に手を当てた。 「…また熱くなってきたな。あんまり動くなよ。おとなしくしてろって」 「…でも、スティーブ…」 「大丈夫だから。…約束したろ?俺が絶対に守ってやるって」 ジーナは無言のままスティーブを見つめる。 スティーブは静かに目を閉じると、まだ少し熱いジーナの体を抱きしめて呟いた。 「何があったって守るから……だから、俺のそばにいてくれ」 前へ 次へ |