もしあのとき、私がその手を離さなければ、ずっと繋がっていられたのだろうか。 もしあのとき、私がその声を耳にしたのなら、ずっと一緒にいられたのだろうか。 もし… もしあのとき、私がその罪を認めていたのなら、あなたは私を赦してくれたのだろうか。 緑に囲まれた静かな川のほとりに、白い着物を着た双子の少女がいた。 二人は手を繋いで大きな岩に、互いの背を預けながら座っている。 「…綺麗だね」 「うん…」 交わす言葉は少なかったが、流れる空気と、背を通して伝わって来る互いのぬくもりがとても心地良かった。 「…ねえ、八重」 「…ん?」 一呼吸置いてから、少女は口を開いた。 「私達…ずっと一緒だよね…?」 八重と呼ばれた少女は少し驚きながらも、すぐに頷いて答えた。 「当たり前じゃない。…ずっと一緒だよ。何があっても」 それを聞いて、少女は嬉しそうに微笑んだ。 「ずっと一緒にいようね…約束だよね」 「うん…約束だよ」 そう言ったとき、遠くから自分達を呼ぶ声が聞こえて、二人は腰を上げた。 「さ、行こう…」 「うん…」 二人はしっかりと手を握り締め、歩き出した。 ……それは、遠い日の約束。 決して戻らない過ぎ去った日々。 結ばれた絆を、永遠だと信じていた日々。 でもそれは、まやかしだった。 no 次へ |